十一月最後の日曜日。
天気は快晴で、雲一つない最高の天気。

ただ季節は冬の始まりだからか、凄く肌寒い。
時間も朝の九時と完全に太陽が昇っていないからか、日差しも弱い。

昨夜の決意の言葉を脳裏に刻んだ私、『桑原茜(クワハラ アカネ)』は、待ち合わせ場所の小学校に向かう。
春には桜で満開になる小学校の校門には、今日のメンバーがすでに集まっていた。

「おはよ茜。ちゃんと寝れた?」

真っ先に私に声をかけてくれたのは、高校からの親友の若槻樹々(ワカツキ キキ)だった。
チャームポイントの長い茶髪を揺らして、私の名前を呼んでいた。

私も答える。

「うん。大丈夫」

それと樹々の隣には、私の昔からの親友の妹である山村小緑(ヤマムラ コノリ)。
樹々よりも明るい茶髪を揺らして、耳にはいつものヘッドホン。

胸元には可愛らしい花の形をしたネックレスを付けている。

そしてもう一人。
小緑や樹々から少し離れた場所に、私の幼馴染みで親友の柴田愛藍(シバタ アラン)の姿があった。

どうやら私が最後だったみたい・・・・・。

「おはよ小緑。愛藍」

私の声に二人は返事をしてくれた。
あまり大きな声で返事はしてくれなかったけど、二人とも樹々同様にやる気に満ちた表情を浮かべている。

メンバーが揃ってさっそく私達は小学校に足を踏み入れようとするも、ここで樹々がある疑問を口にした。

「んでさ、なんであたし達制服なの?」

その樹々の疑問の言葉に、私は頷いた。
実は私もずっと同じ疑問を抱いていた。

ここにいる私達は学校の制服を着ていた。
まるで今から自分の通う高校に登校するように・・・・。

制服を着る理由は特にない。
強いていうなら、『私服で小学校に行くのもちょっとだけ変だ』という理由から。

小学校の先生の許可は貰っているけど、不審者だと怪しまれる可能性がある。
まあそう提案したのは私の親友なんだけど。

「さきねぇの提案。制服で行けば『マトモ』に見えるだろうって」

小緑は私達の質問に答える。
直後小さなアクビを一つ浮かべた。

と言うか『マトモ』・・・・ねぇ。
『それを小緑が言っても良いのだろうか?』と、私は小緑に冷たい視線を送った。

中学一年生の小緑は制服のブレザーのボタンも全開に開けている。
スカートも短く、とても一年生の服装には見えない。

それと『校則違反』であろう緑色のパーカーをブレザーの中に着込んでいる。
後ろから見たらフードも顔を出しているし、確か学校で指定された制服やジャージ以外の着用は禁止されているはず。

『お洒落』と言ったらお洒落で可愛らしい姿なんだろうけど、『学校の制服をお洒落に着る』のはどこか違うような・・・・。

制服で行こうと提案してくれたお姉ちゃんが側にいるのになんでこうなっちゃうんだろう。

その明るい茶髪も絶対にアウトだし・・・・・。

まあでも、それは小緑だけに言えることじゃない。