ルビコン

気が付いたら時間は夜の九時を回った頃だった。
外は完全に真っ暗な夜空に変わって、星空が照らされている。

同時に大人達の楽しそうな声が聞こえる。
祭りは夜遅くまで続くみたいで、他の屋台の光が店内まで届いている。

本当に別の世界に来てしまった感覚だ。
いつもはこの時間になると殆ど外には人はいないのに。

祭りって不思議な時間だと私は思う。

私は城崎さん開催してくれたパーティを存分に楽しんでいた。
知らない人も沢山居たけど、私はいつものメンバーと一緒に居ることが殆どだった。

だって楽しいし。
ずっとこのメンバーで遊んでいたいと思うし。

若槻樹々は相変わらず元気な女の子だ。
ムードメーカー的な存在で、いつも私を元気にさせてくれる。

本当は大人しい女の子なんだけど、私の前ではいつも明るい。
『無理しているのな』って思ったけど、今はそうでもないみたい。

『明るい嘘の自分が、本当の自分になりかけている』って樹々は笑顔でそう言っていた。

山村紗季はいつも笑顔を浮かべている優しい女の子。
身体が弱くて入退院を繰り返す日々が続いていたけど、最近は本当に元気だ。

今日もずっと城崎さんの手伝いをしていたし、徐々に治ってきているみたい。

本当に安心した。
山村小緑は私達と少し年の離れた中学一年生の女の子。
そして紗季の妹だ。

マイペースな性格でいつも大人しい彼女だけど、気は強い。
まるで悪の存在を許さない『正義のヒーロー』のような女の子。

困っている人がいたら助けるし、どんな相手でも怯まずに立ち向かう。
本当に色んな意味で羨ましい存在だ。

川島橙磨さんはイタズラ好きで、よく私を困らせることばかり考えている困った男の子。
料理が得意で、城崎さんや東雲さん達が作る料理みたい美味しい。

そして妹の帰りを待つ心優しいお兄ちゃん。
同時に私から見ても頼るになるお兄ちゃんだ。

柴田愛藍は負けず嫌いで、『約束』という言葉には超敏感な男の子。
再会して少し大人しくなったかなって思ったけど、やっぱりそうでもなかった。

愛藍は愛藍だ。
いつも私と一緒に笑っていた柴田愛藍だ。

昔から何も変わっていない。

そして私、桑原茜は人見知りが激しいピアノが得意な臆病者の女の子。
一人では何にも出来ないし、ピアノ以外ではなんの取り柄もない残念な子。

勉強も運動も仕事も出来ない不良品。
一人で居たいと強く願う、寂しがりや。

喧嘩は弱いのに、誰にでもかかっていく血の気のの多い女・・・・。

そんな私達は気が付いたらいつも一緒にいる。
いつも一緒に遊んだり、楽しく話し合っている。

そしてお互いを信頼しあっている。
辛いことがあったら相談するし、お互いを助け合う。

それが『友達』や『親友』の姿なんだと私は思う。

って、さっきまで私は出来ていなかったんだけどね・・・・。

でも今日からの私は違う。
一人で抱え込まずに、誰かに相談する。

『誰か』とはいつも一緒にいるメンバーだ。

このメンバーなら必ず力になってくれる。

だから、私はもう迷わない。
仲間をを信じて、私は生きていく。

こんな楽しいし時間を無駄にはしたくない。

何よりもう直ぐお別れの時間だし・・・・・。