時間はカフェの閉店時間である夜の六時を回った。

営業時間が終わり、あとは片付けたら今日の仕事は終了・・・・なんだけど、明日も屋台を営業させるみたいだから、片付けは殆どない。

食材を冷蔵庫に入れたら、今日の後処理は終わりみたい。

その片付けを終えた私達は解散かと思っていた。
あとは家に帰ったり、赤崎祭の夜の部を楽しんだりする者で別れるのかと思ったけど、どうやら違うみたい。

カフェ店内、立食形式のように中央に寄せられたテーブルには洋食メインの大量の料理。

それと沢山のドリンク。
ワインやビールなどのお酒から、子供達向けのソフトドリンク。

明るい曲が流れる有線放送はまるで、今からパーティーが開かれるみたいな雰囲気だ。

いや、本当にパーティーが開かれるみたいだ。
とっさの城崎さんの提案らしい。

さっきの橙磨さんが買ってきてくれた山のような食材は、どうやらこのためのようだ。

店内には今日手伝ってくれた人達が集まっている。
私や樹々達のいつものメンバーと、アルバイトの大学生。

それと東雲さんや桔梗さん。

楽しいパーティーだからか、他の人も呼んでもいいみたいだ。
『沢山いた方が楽しい』って城崎さんは言っているし。

ちなみに参加費は無料らしい・・・・。
太っ腹過ぎないかな?

だから小緑の友達の瑠璃や砂田もいる。
もちろん瑞季も。

他にも橙磨さんや愛藍の友達である桜さんや美空さん。
他にも色んな人が来ている。

私が会ったことない人も中にはいるみたい。

私も城崎さんに『誰か呼んでこい』と言われたから、ダメ元で私のピアノ教室の先生達を呼んでみた。
そしたら本当に来てくれた。

大石春茶(オオイシ ハルチャ)先生は本当に有名人みたいで、店内に入るだけでみんなが盛り上がる。
ピアノには興味がなくても、誰もが一度はその名前を聞いたことがあるみたい。

そしてもちろん栗原律先生も一緒だ。
本当に春茶先生の恋人のようにいつも一緒。

もう結婚したらいいのに。

それと愛藍も呼んでみた。
流石に『夜は仕事があるのかな?』って思ったけど、また来てくれた。

また直ぐに桜さんに捕まったけど、この空間ならいいかなって思う自分もいる。

参加者は全員で三十人くらい。
知らない人も交えて、みんな片手にグラスを持っている。

そう言えば樹々に誘われた『カフェ会』も似たような雰囲気だっけ。
その時は殆ど知らない人だったからずっと怯えるようにドリンクを啜っていたけど、今回は殆ど知っている人。

だから、今から楽しくなるってことは直ぐに理解できた。

主催者の城崎さんは、みんなのグラスにドリンクが入っているのを確認するとみんなの前に立つ。
そして何故だか樹々も城崎さんの隣にいる。