小緑のいじめが収まったのは、小緑や紗季のおじいちゃんのお陰だ。
頼りない両親に変わって、学校に訴えてくれたみたい。

同時に小緑と紗季がいつも以上に明るくなった気がする。
『両親からの無駄でアホらしいな威圧を感じなくなった』って、紗季は言っていた。

これもおじいちゃんのおかげなんだろう。

そして私は再び『家族』というワードに胸を痛めていた。
『いい加減切り替えないと』って思うけど、どうも上手くいなかい。

昔から一度考え込んだらずっと考える癖、本当に治っていない。

私は物事や思考の切り替えが上手くできない。
落ち込んでいる時はずっと落ち込んでいる。

慰められてもあまり効果がないって言うか・・・・・・。

でも、昔からの悪い癖は早く直そう。

じゃないと、本当に葵に笑われる。

私はため息を吐くと同時に携帯電話を確認すると、橙磨さんからメールが来ていた。
『後は頑張ってね。過去と向き合うんだよ』という謎のメールが受信ボックスに入っていた。

そのメールの意味が分からないのが私の本音。
送る相手を間違えたのだろうか。

それに『頑張れ』って、私は何を頑張ればいいんだろうか。
過去の意味もよくわからないし。

だから私は返信はしなかった。
『橙磨さんに返事した方がいいかな?』って少し心残りを感じながら携帯電話の電源を落とすと、目の前の大きな舞台を確認。

『おっさんバンド』から変わって、男子高校生二人が漫才をしていた。
たいして面白くない。

・・・・・。

「茜?なんでここに?」

その時、『今日何回目の私の名前を呼ぶ声だろう』と思った私は声のする方を振り返る。

そして私は驚いた。