「茜ちゃんは愛藍の事が好きなの?それとも付き合っているの?」

「へ?」

桜さんとの久しぶりの会話が、意味の分からない質問に私は困惑。
私はいつの間にか橙磨さんに助けを求めていた。

でも橙磨さんは性格が悪い。
横目で彼の表情を見ると、まるでこの状況を楽しんでいるような不気味な笑みを浮かべている。

そして頼るべき相手を間違えたと、私は後悔した。

「そうだよ。茜ちゃんは愛藍くんの昔からの友達。長い付き合いになるんだから、キスの一つや二つくらいはあるはずさ」

「ちょ、橙磨さん!何言っているんですか!」

この人を頼ったら酷い目に会う。
私をからかっているだけなんだと思うけど、何故かその言葉は今まで一番深く突き刺さった。

一方の桜さんは私に怒ってくると思った。
橙磨さんの言葉に納得出来ず、また理不尽な思いをするのだと思ったけど・・・・・。

「そうだよね。愛ちゃんは私と話すときより、茜ちゃんの事を話すときの方が楽しそうな表情をしているから・・・・」

その悲しげな表情と共に発した桜さんの言葉。
まるで恋愛ドラマに出てくる失恋した女の子みたいだと思った。

私は二人の関係は知らない。
どういう繋がりなのか私には分からない。

二人の間に何があったのか、全くわからない。
桜さんが愛藍のことをどう思っているのか、私は分からない。

でも、何故か私は嬉しかった。
その桜さんの悲しげな表情見て、誰かさんのように性格の悪いことは考えないけど、少し心が晴れた気がする。

愛藍と桜さんはまるで、『私にとって樹々や紗季のような存在なんだ』と思ったから。
私の場合、不安や辛さから襲われる時は、誰かが側に居てくれた。

私を元気付けようと笑顔を見せてれた樹々や、何でも話を聞いてくれるお姉ちゃんのような紗季。

この二人がいたから、私は高校生活を楽しく過ごせた。
後に橙磨さんや小緑とも出会って、私は今と言う時間が凄く楽しいと思う。

だから、『愛藍も私と一緒なのかな?』って思った。
私と同じで辛いとき、桜さんが側に居てくれたのだろう。

『辛い時間を過ごす愛藍を支えてくれたのは、間違いなく桜さんなんだ』と、そんなことを思った。

まあ二人の過去はよく知らないから、本当かどうかは知らないけど・・・・・。