『変わった』と言われて、嬉しいのは事実。
そして最近その言葉をよく言われるようになった。

確かに私の行動や意識は変わったと思うけど、私自身はまだ変われていないと思う。
まだ本当の自分は昔のまま。

だから、その言葉を言れると反応に困るのが本音だ。
私が否定したら、向こうも『そんなことない』って否定してくるし。

ってかそういう会話もめんどくさかったり、話したくないと思う時点で『全然変わってない』と言えると思うけど。

・・・・・。

そんなことを考えていたら、今朝の城崎さんの言葉が不思議と私の中に染み渡った。

確かに私、何に対しても自信がない。

誰かから『変わった』って言われている時点で、『私自身が変わっている現実』があるのに、それを『自信がない私』が否定する。

逆にそこを前向きに捉えたら、もっと私は変われるかも知らないのに。

城崎さんが『中々変わることが出来ないない』と言っていた『人間の内側』も変わるかもしれないのに・・・・・。

「あっ、いた!こら美空!勝手にどこかにいくな!」

また聞き覚えのある声が遠くから聞こえた。
この人も確かカフェ会で出会った人だ。

まるで高校生・・・・いや、私より年下に見える童顔の女の子。
『大学生だ』って前に聞いたけど、どこからどう見ても中学生にしか見えない。

美空さんは反論する。

「勝手にって、桜がどっかに行っちゃったんでしょ?『愛藍くん』でも見つけて、飛び出しちゃったの?」

「なっ!愛ちゃんは今関係ないでしょ?何言っているよの!」

「好きなんだったら告白したらいいじゃん。あぁ・・・そういえば野球終わってから告白したみたいだけど、 返事が帰ってこなかったんだっけ」

「うるさいな!」

二人の会話を聞いて、どうして私の親友の名前が出てくるんだと思った。

それに『野球』って、この人達は橙磨さんが参加していた草野球チームのメンバーなんだろうか。

「はいはい。二人ともそこまで。それでご注文は?」

橙磨さんの言葉に、ようやく目の前の童顔の少女は私の存在に気がついたみたい。

桜(サクラ)さんは美空さんと同じで、少し驚いたような表情を浮かべている。
『久しぶりだね』と言われているみたい。

でもすぐに桜さんは恐い目付きに変わる。
まるで私に恨みでもあるような、睨み付けるような恐ろしい表情。

というかこの人こんな恐い人だったっけ?
もっと優しい人だったはずなんだけど・・・・・。

私、なんかしたっけ?