「茜ちゃんもこのままではダメだって死ぬほどわかっているんでしょ?だったら行動しないと。・・・・って言いたいけど、今の茜ちゃんには難しい。でも、いつかは行動しなくちゃいけない日も来る。だったら今は『行動する日』を決めるんじゃなくて、『行動するキッカケ』を決めた方がいいんじゃないかな?」

「・・・・キッカケですか?」

「そう。例えば『葵くんと仲良くする』じゃなくて、思いきって挨拶してみるとか。告白してみるとか!」

「無理です!」

今日初めて私の大きな声を聞いた城崎さんは、私に再び優しい笑みを見せてくれた。

「そこは自信もって言えるんだね。まあいいけど。それが茜ちゃんが今望む行動なら、何も言わない」

直後、ものすごく悔しさが私の中に這い上がってきた。

本当に都合が悪くなると逃げ出す癖、昔から全然治っていない・・・・。

「情けないですよね、私」

「全然。むしろそれが桑原茜って言う女の子だし。それに言ったでしょ?『人間の内側なんて簡単に変わらない』って」

でも『簡単に変わらないから』と言う理由で変わらないのも変な話。
それは『やる気のない人』にも見えるんじゃないだろうか。

もし他人から見て、『桑原茜という人物はやる気のない人』だと見られているなら、私は絶対に嫌だ。

・・・・・・。

だから、私は答えを知りたい。
今私が何をするべきなのか、教えてほしい。

「じゃあどうやったら変えられますか?」

もう逃げたくない、葵や愛藍との過去を曖昧には終わらせたくない。

それが今のやりたいことだ。
『私が望むこと』だ。

って前から言っているけど、私がヘタレだからか全く前に進んでいないのが現状。

・・・・・。

ってか、本当に口だけの人間だ私・・・・。
向こうから『仲直りの機会』を待っているだけっていうか。

本音は「自分からは何もしたくない』っていうか・・・・。

城崎さんはコーヒーを一口すすると、真剣な眼差しで私を見ていた。
まるで睨み付けるような真剣な視線なんだけど、表情は優しかった。