「だから、もうこれで特別な中学一年生一は終わり。これからは楽しい中学生活を歩んでいればいいんだよ。普通のお前の人生の始まりだ」

普通の人生か・・・・。
確かに僕は普通じゃない。
いじめられて、友達もいなかった。

親に虐待も受けていた。

でも、今は違う。
ジジイが家にやって来て、僕の家庭は変わった。

瑠璃とも仲良く出来て、砂田や瑞季という新しい友達も出来た。
これが普通の中学生の生活なんだけど、その普通が僕には嬉しい。

心の底から凄く嬉しかった、

だから今ならその烏羽先生の言葉に力強く納得出来る気がする。

「はい!」

僕は烏羽先生に笑みを見せた。
偽りのない、中学生らしい無邪気な笑顔。

お姉ちゃんによく似た、山村小緑の満面の笑顔。

「考えるな。まずは考える前に行動しろ。若いんだから大丈夫。壁にぶつかって『痛い』と感じたら、初めてそこで考えればいい。今は色んな人生の壁を見つけて、突っ込んでいたらそれでいいんだよ。今は将来の自分に何が必要なのか、考える時間を作ることが必要だ。自分が誰なのかわからない内は、考えるな」

烏羽先生は僕の肩を叩くと共に、精一杯の力で僕のこれからの人生を後押ししてれるように僕に希望を与えてくれる。

「頑張れよ。応援しているから!」

「はい!ありがとうございます!」

そう言った僕は烏羽先生に深く頭を下げた。

そして、もうすっかり僕の最大の武器となった『山村小緑の満面の笑顔』を烏羽先生に見せて、僕は生徒指導室を後にする。

僕が向かった先は、烏羽先生同様に僕の人生を後押ししてくれる、最高の仲間がいる場所だ。

僕の新しい居場所・・・・。

こうして、不器用な中学生の僕の辛い物語が終わった。

これから始まるのは、僕の最高の人生。

最高の仲間に囲まれて、最高の道のりを歩んでいく僕の物語。

もし仮にまた目の前に悪が立ち塞がっても、僕はもう負けない。
最高の仲間と一緒に敵を倒すだけ。

まるでRPGゲームの主人公のように、僕は新たに山村小緑と言うか楽しい人生をプレイし始めた。

・・・・・・・・。

『勇者山村小緑の大冒険』は始まったばかりだ・・・・・。