「んじゃ、今日終わってから四人でどこかに遊びにいこうよ。仲直り記念日みたいなの」

僕が提案すると、瑞季以外の二人は笑って小さく頷いた。
まあ『どこか』って行っても、多分ゲーセンになると思うけど。

一方の瑞季は慌てた表情で僕を見ていた。
今日は『予定がある』とでも言ってそうな、申し訳なさそうな表情。

そして実際に予定があるのは僕も同じ・・・・。

「小緑さん。今日は美憂さんの・・・・・」

そうだった。
今日はみんなで、『明日から開催される赤崎祭の前夜祭をする』って、瑞季が言っていたんだったっけ。

・・・・・。

いや、知らないし。
どうせ集まって、バカ騒ぎしかしないと思うし。

僕は瑞季の言葉を反論する。

「そういうのは、さきねぇ達だけでやっといた方がいいの」

そう瑞季に反論したら、瑞季は小さなため息を一つ吐いた。
まるで言うことの聞かない『親友』を持ったような呆れた表情。

でも最後は笑っていた。
瑞季は納得していた。

『今日ぐらいいっか』って、彼の心の声が聞こえた気がする。

そう、いいんだ。
『最高の時間』に『最高の親友』と遊ばないと意味がないし。

なんなら四人で遊んでいる時の写真を麦にも送ってあげよう。
その方が麦も喜んでくれるはず。

また僕らの事を思い出してくれるはず。
なんだろう。
今まで未来を絶つことしか考えていなかったのに、将来の事を考えたら不思議と元気が出てきた。

これから先の僕の人生が凄く楽しみに思えた。

まるで『バッドエンド』しかない僕の人生に『ハッピーエンド』の物語が追加されたように・・・・。