瑠璃の謝罪の言葉で、僕の二年間の悲しみに幕が閉じた。
あっさり終わったから、僕は現状に理解出来ないでいた。

だって、昨日まで僕を殴っていた瑠璃が急に僕に謝っているし。

と言うか、正直言って意味がわからない。

あの瑠璃が『ごめんなさい』と言う言葉を使う現実に、僕は混乱する一方だ。

どんな悪いことをしても、何度も麦に怒られていても『ごめんなさい』と言わなかった瑠璃が謝っていると言う現実に、僕は理解が出来ない。

そして、不思議だった。
あんなに意地張っていた瑠璃が、僕の前で笑っている。

そして懐かしさが僕の中から込み上げてくる。

本当に昔の僕らに戻ったみたいだ。
何も考えずに笑って過ごしたあの頃みたいに、僕は懐かしく感じた。

そんな僕は『人ってこんな簡単に変われるのだろうか』と思った。
『心の隙を突くだけで、人間は簡単に心を開くのだろうか』と僕は疑問に思った。

答えを探したけど、『仲良く出来たらまあいっか』と思って考えるのを止めた。

それに答えはすぐに分かったし。
僕と瑠璃は同じことを考えて、このお互い辛い二年間過ごしてきたはずだし。

瑠璃が簡単に心を開いた理由は、僕が『瑠璃を想う』ように『瑠璃も僕の事を想っていた』から。

ただ彼女は僕と同じで不器用なだけ。
烏羽先生が言った通り、仲間の頼り方を知らなかっただけ。

だから昨日の放課後のように『僕に助けて』なんて言葉が出てきたのだろう。
助けを求めたのは、さっきまで自分が殴っていた相手だ。

そんなこと嘘でも絶対に言えない。
何より自然に出てきた言葉だと思うし。

それだけで僕は満足だ。
単純な奴だと思われるけど、それが『山村小緑』という不良少女だ。

もう辛かったことなんて全部忘れたような気分だった。
でも、まだ終わっていない。

それはそれだ。

だから、今からの話を瑠璃としたい・・・・。