「お姉ちゃんはマーロンクリアしたことあるの?」
「まあ一応ね」
「なんで新ルートを教えてくれなかったのさ」
「だってこっちゃん頑張ろうとしているし。ゲームの結末知っちゃったら楽しくないでしょ?それにこっちゃんのお気に入りのゲームだし。邪魔しちゃ悪いかなって」
お姉ちゃんは僕の部屋の中央にある小さな机で紙と向き合っていた。
僕と同じように麦への手紙を考えてくれている。
僕のことなのに、お姉ちゃんは自分の事のように真剣に考えてくれているみたいだ。
一方の僕はもうすでに諦めていた。
『諦めたらダメだ』と言うことは分かるけど、無理なものは無理っていうか。
お姉ちゃんに怒られたのに、僕はまだゲームのエンドロールを眺めていた。
そんな僕だけど疑問が一つある。
気になることが一つだけある。
「さきねぇ」
「なあに?」
「いじめた人の気持ちって、どんな気持ちなのかな?」
お姉ちゃんの手は止まらない。
僕の話を聞きながら手を動かすなんて器用な人だ。
「どうしてそんなことを思うの?」
「『瑠璃は今どんな気持ちなのかな』って思ったから」
『瑠璃は虐待を受けて、精神がまともじゃない』って砂田が言っていた。
正直言って最初は『嘘』だと思ったけど、瑠璃の腕のアザと初めて見る瑠璃の絶望に染まった表情を見て、砂田の言葉は確信に変わった。
だからと言って、人を攻撃していい理由にはならない。
でも変わろうとする僕を見て、『瑠璃はどんな気持ちで僕をいじめていたのか』って僕は思った。
ただそれだけの理由。
「瑠璃ちゃんのこと心配?」
「うん。いじめられることが無くなったから、『うっとしい』とか『嫌い』とかそんな気持ちはどうでもよくなって、今はただ瑠璃が心配」
「そう」
初めてお姉ちゃんの手が止まる。
そして何かを考えるような仕草を見せると、お姉ちゃんは口を開いた。
「私も正直言ってよく分からないかな。私の場合はいじめを受けたことないし、誰かをいじめたこともない。いじめとは無関係と思いたいけど、こっちゃんや茜ちゃんがいじめられていたから、どうしても無関係とは言えないっていうか」
「茜さん?」
意外な名前が出てきて、僕は首を傾げた。
「そっか、こっちゃんはまだ知らなかったね。そう言えば言ってなかったし」
お姉ちゃんは一呼吸置くと続けた。
「まあ一応ね」
「なんで新ルートを教えてくれなかったのさ」
「だってこっちゃん頑張ろうとしているし。ゲームの結末知っちゃったら楽しくないでしょ?それにこっちゃんのお気に入りのゲームだし。邪魔しちゃ悪いかなって」
お姉ちゃんは僕の部屋の中央にある小さな机で紙と向き合っていた。
僕と同じように麦への手紙を考えてくれている。
僕のことなのに、お姉ちゃんは自分の事のように真剣に考えてくれているみたいだ。
一方の僕はもうすでに諦めていた。
『諦めたらダメだ』と言うことは分かるけど、無理なものは無理っていうか。
お姉ちゃんに怒られたのに、僕はまだゲームのエンドロールを眺めていた。
そんな僕だけど疑問が一つある。
気になることが一つだけある。
「さきねぇ」
「なあに?」
「いじめた人の気持ちって、どんな気持ちなのかな?」
お姉ちゃんの手は止まらない。
僕の話を聞きながら手を動かすなんて器用な人だ。
「どうしてそんなことを思うの?」
「『瑠璃は今どんな気持ちなのかな』って思ったから」
『瑠璃は虐待を受けて、精神がまともじゃない』って砂田が言っていた。
正直言って最初は『嘘』だと思ったけど、瑠璃の腕のアザと初めて見る瑠璃の絶望に染まった表情を見て、砂田の言葉は確信に変わった。
だからと言って、人を攻撃していい理由にはならない。
でも変わろうとする僕を見て、『瑠璃はどんな気持ちで僕をいじめていたのか』って僕は思った。
ただそれだけの理由。
「瑠璃ちゃんのこと心配?」
「うん。いじめられることが無くなったから、『うっとしい』とか『嫌い』とかそんな気持ちはどうでもよくなって、今はただ瑠璃が心配」
「そう」
初めてお姉ちゃんの手が止まる。
そして何かを考えるような仕草を見せると、お姉ちゃんは口を開いた。
「私も正直言ってよく分からないかな。私の場合はいじめを受けたことないし、誰かをいじめたこともない。いじめとは無関係と思いたいけど、こっちゃんや茜ちゃんがいじめられていたから、どうしても無関係とは言えないっていうか」
「茜さん?」
意外な名前が出てきて、僕は首を傾げた。
「そっか、こっちゃんはまだ知らなかったね。そう言えば言ってなかったし」
お姉ちゃんは一呼吸置くと続けた。