「そうだよ、麦に謝れ!『自分のせいでみんなの人生を狂わせてしまった』ってことにいい加減気がつけよ!お前なんか死ねばいいのに!」

その全てを否定された瑠璃の言葉に、僕は抵抗するのをやめた。

そして僕はもう考えるのをやめて、ただ痛みに耐えるだけ。
無抵抗の僕を瑠璃は殴り続ける。

でも本当にそうだと思った。
僕が運動会で痩けなかったら、こんなことにはならなかったし。

僕を助けようとした麦も、嫌な思いをしなくて済んだ。

それに瑠璃もこんなに悲しまなかった。
同時に、僕は瑠璃の口癖をようやく理解した。
『小緑が転んだから、麦がいじめられるようになった』の意味がようやく分かった。

言葉通りだ。

僕が運動会で転んでしまっていじめられたから、麦もいじめられた。
心の支えである麦がいじめられて居なくなってしまった。

そりゃ瑠璃も僕に怒るよね。
僕は被害者だと反論しても、『僕が被害者』だからダメなんだよね。

『僕が生きている』のが何より一番いけないんだよね。
僕を助けようとする麦に『そんなことをしたら麦もいじめられるから止めて!』って言えば、全て解決出来たかもしれないのに。

こんな苦しい思い、みんな味わなくてよかったのに。
僕だけで十分だったのに・・・・。

やっぱり、僕らの関係が壊されたのは全部僕のせいだ。
僕が『悪』だからいけないんだ。

だからこそ思う。
本当に、このまま殺してくれたら僕は楽になれるのに・・・・。

『僕がみんなを貶めた悪魔だから倒されても仕方ない』って。
今なら納得できる。

瑠璃を助けたいけど、正直言って僕には無理なのかもしれない。

だってこんな状態だし。
僕を見たら相変わらず殴ってくるし。

拳で喧嘩売ってきた相手に、『話で解決しよう』と言っているのと同じくらい無意味な僕の考えや行動。

何より、今の言葉が瑠璃の本音だ。
僕が頑張っても、瑠璃が心を開いてくれなかったら意味がない。

だから、もう僕には何も出来ないや。
親友すら救えない、ただのクズ野郎・・・。

僕の方こそ死ねばいいのに・・・・・。

・・・・・。

「おい大村、何やっている」

そんな中、僕達がよく知る聞き覚えのある声に、瑠璃の表情が凍った。
まるでとんでもない所を見られたと言っているような表情。