いつもよりお姉ちゃんが側に居てくれる時間が増えた気がする。
僕、『山村小緑(ヤマムラ コノリ)』に付きまとうよなストーカーのように、僕の事が大好きな人みたいに・・・・。

本当にいい迷惑だ。
『もう中学生だから一人で出来る』と言っても、お姉ちゃんは何をしようとしても手伝ってくれるし。

一人でゲームセンターに行こうとしても、お姉ちゃんは付いてくる。
僕がダンススクール通うときも、わざわざ送り迎えをしてくれる。

ってかそれが『僕の心を傷つけている』ってことに、どうして馬鹿なお姉ちゃんは気付かないのかな?
僕は一人が好きなのに。

それにお姉ちゃんと一緒に歩いていたら、恥ずかしいと言うか・・・・。

仲の良い『姉妹』に思われそうで何だか嫌だし。

とにかく恥ずかしい・・・・。

今日はダンススクールの日。
学校が終わった僕は、一度家で動きやすい服に着替えると、バスでダンススクールへ向かう。

入ってもう一ヶ月。教えてもらっている潤さんには褒められてばっかりだった。
『こっちゃんはすぐに教えたことをマスターする』って。

『こっちゃんなら世界を取れる』とか。相変わらず僕を挑発するような変なことを言ってくる変な先生だけど、僕は潤さんの事が好きだ。

僕の話をちゃんと聞いてくれるし、僕の気持ちも理解してくれているみたいだし。

そしてダンススクールでは友達も出来た。
名前はまだ覚えていないけど、気が付いたら仲良くなっていた生徒もいる。

同じ年くらいの違う学校の少年少女。
彼らと一緒にいる時間が、少しだけ楽しかったりもする。

そんな中でも僕に積極的に声を掛けてくれている生徒がいる。
年の離れた『リーダー』と呼ばれている少年だった。

背の高くて、ダンスの上手なイケメンのお兄さん。

彼の名前は、江島葵(エノシマ アオイ)。