小緑と二人で家に帰る中、美味しそうな匂いが私達を襲った。
時間は午後の五時を回った所だった。

夕飯の買い出しをする主婦が目立つ商店街。
そこから漂う惣菜の美味しそうな香り。

特に揚げたてのコロッケのような香りに、お腹の空いた私達は我慢の限界だった。

「こっちゃん、コロッケ食べない?」

小緑はすぐに頷いた。
昔から食べることは大好きだったっけ。

商店街の片隅にある惣菜屋。
そこの牛肉コロッケは格別に美味しいと評判だ。

安くて地元の学生達には大人気だし、主婦達も晩御飯のおかずに買い求める人も多い。

早速私達は評判のいい惣菜屋に向かったら、大きな体格のおじいさんがコロッケを買い求めていた。
とてもおじいさんとは思えないほど筋肉質の体系だ。

こんな人、近くに住んでいたっけ?

大きな黒い帽子にどこか怖い印象の黒一式のスーツ。
まるで内ポケットから拳銃が出てきそうな強面の恐そうな人だ。

こんな人、ドラマでしか見たことない・・・・。

おじいさんは大量のコロッケが入ったビニール袋を受けとると、この場を後にする。
携帯電話で誰かに連絡するのか慣れない操作で、歩きながら携帯電話を見ていた。

そして前を歩く小緑とぶつかった。
小緑もよそ見をしていたようだ。

「おお、すまんな。お嬢ちゃん大丈夫かな?」

小緑に怪我はない。
それほど大きな衝撃ではなかったため小緑も驚いただけ。

でも直後、小緑はおじいさんを睨んでいた。

ってこら!