「茜、悪かった。本当にすまなかった。謝って済む問題じゃないと思うし、茜がどんな気持ちであの頃を過ごしたのか、正直に言って分からない。許してくれるとは心の底から思ってない。だからこそ、茜に謝りたいんだ!お互いの、あの頃を終わらすため。そしてまた始めるため。そしてまた茜と遊びたい!『いじめておいて、都合のいい奴』って思われるかもしれないけど、俺は茜と一緒にいた日々が大好きだったんだ!毎日一緒に馬鹿して、怒られて。でも隣に好きな人がいたから楽しかった。もう一度、茜と一緒に遊びたい」

それが俺の空白の七年間の想い。
七年間で死ぬほど考えた言葉。

そして経験して、今思う願い・・・・・。

正直言って、また怒鳴られると思った。
また茜は反論してくるんだと思った。

だから一生懸命その反論の反論の言葉を考えていたけど・・・・。

・・・・・・・。

「よかった」

「は?」

その想像していない茜の声に、俺は頭の中が真っ白になった。

茜は続ける・・・・。

「私も一緒の事を考えていた。愛藍や葵と一緒にいた日々に戻りたいけど、『本当は私の事が嫌いだったんじゃないかな?』って。ずっとあの頃はそんなことを考えていた。それが辛くて、毎日死にたいと思った」

「茜・・・・」

そうやって俺が茜の名前を呼んだ後に聞こえたのは、茜の泣き声。
茜も七年間の想いをすべてを吐き出したかのように語った直後、泣いてしまったのだろう。

中学生から俺達は別々の道を歩んだ。

もう会うことがないと思ったあの日々。
戻ってこない楽しかった日々。

自分を殺したいと思ったあの日々。
でも不思議だった。
何故か気が付いたら、同じ道を歩んでいたってことに。

同じゴールを目指していたってことに。

そして気が付いたら、また茜が側に居てくれたってことに。

そう理解した俺は知らない間に涙を流していた。
情けなく、草太や橙磨さんの前で・・・・。

でも今はそんなことを考える暇すらなくて、心の中で『涙くらい見られてもまあいいか』って納得して・・・・。

一方の橙磨さんは俺と茜の間を邪魔をした。