「なあ茜。『あの頃の出来事、許して欲しい』って言ったらまた怒るか?」

「なんでそんなこと聞くの?」

その茜の声は怒ってはいなかった。
きっと驚いたのだろう。

急に真面目な話をしてしまったから。

「いやだって、どう見ても俺が悪いし。お前の気持ちも分かるけど、とりあえず俺の話くらい聞いてくれね?やってしまったことはもう変わらないんだから。俺も茜も、こんな関係で終わりたくない」

俺の気持ちを伝えたら、返事は返ってこなかった。
変わりに聞こえるのは、鼻をすするような音。

そして『チャンス』だと思った。
『こんなチャンスを逃したら、俺の人生は終わるのだ』と思って、俺は決意を固めた。

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