「そこは『ありがとう』って言ってよ!こんなにアンタのこと心配しているのは、茜の家族かあたしくらいだよ。感謝してよね」

だけど樹々のその言葉とから一転。
樹々から笑顔が消えて、何故か申し訳なさそうに私から目を逸らしていた。

「ってかあたしの方こそごめん。辛いこと思い出す原因作ってしまって。誘わない方が良かった?」

「そんなことない。楽しかったから。また行きたい」

私らしくないなと、言って後悔。

珍しい私の本音に、樹々は嬉しそうだった。

「ホント?その言葉、シロさんも喜ぶよ!」

知らない人と会話するのは嫌い。
怖い。

だけどみんなと過ごす時間は嫌いじゃない。
一人で過ごす時間がいいと言ったけど、それは多分間違っているのだろう。

私、嘘付いているのだろう。
小学生時代は毎日当たり前のように葵や愛藍と一緒に過ごした。

そして今は当たり前のように樹々が側にいる。

だけど樹々の事が怖いと思う自分もいるのも事実。
仲良くなるのが恐いと思う自分がいることも事実。

でもそれなら克復すればいいだけの話。
もっと誰かと一緒にいる時間を増やして、一人で過ごす時間を減らせばいいだけの話。

頑張って目標に向かって生き続けていたら、絶対に苦手やトラウマから克復出来る。

友達ごっこでもなんでもいい。
今の時間が楽しいならなんでもいい。

私の寂しさを埋めてくれる人がいてくれたら、それでいいと私は思う。

後は寂しさを埋めてくれる人達に、私が素直になれるかどうか。
自分自身が変わろうと思えるかどうか。

そう思ったら何故だが元気が出てきた。

同時に『あの二人との関係はやり直せないのかな?』って、少し馬鹿みたいなことを考えたりもしていた。

でも『ちょっとは私も変われたのかな?』って思ったりもした。

でもでも、やっぱり前を見て歩けないのが、桑原茜と言う残念な女。

一人じゃ何も出来ないのか私・・・・。

・・・・・・。

「本当に、私って馬鹿だ・・・・・」

無意識の私の言葉は、橙磨さんと樹々を不安にさせる。

「なんで茜が馬鹿なの?」

「だって私、何も考えてないし。猫を助けようとしてみたけど、結局二人に迷惑だけかけてしまったし。一人じゃ何も出来ないって気が付いたし」

結局私は誰かに助けられて、誰かに励まされる。
樹々は同い年なのに、まるで人生の先輩のような気がして。

私もしっかりしなきゃって、何度も思うけど・・・・・・。