「もう!こっちゃんのために買ってあげたのに!」

「と言うか、さきねぇこそお洒落した方がいいんじゃないの?生まれてから一人も彼氏出来たことないんだし。それとも何?好きな人がいるのに告白出来ないってやつ?」

「ちょっと、どういう意味?」

「そのままの意味。目の前に好きな人がいるのに告白しないとか馬鹿みたい。そのうちその人、男を作って逃げちゃうよ」

僕の言葉にここいるみんなは疑問を抱いたのか、さきねぇ以外のみんなは首を傾げた。

まあ、さきねぇの秘密だからあまり言いたくないけど。
突然の姉妹喧嘩に、僕は嬉しかった。
本気で答えたら本気で答えてくれるさきねぇに。

そんなお姉ちゃんが大好きだ。

だから、お姉ちゃんに相談したら本気で僕の現状を考えてくれるのだろう。
お姉ちゃんに『助けてもらいたい』と思う自分がいるし。

ダメだとしても励ましてくれるだろう。
本当に僕、さきねぇがいないと何も出来ない子だ。

でもまだ中学一年生。
甘えれる内は甘えてもいいと思う自分もいる。

と言うか、甘えるべきだと思う。

だって、甘えるって今しか出来ないし。
お姉ちゃん来年いないし。

僕も早くお姉ちゃんみたいな大人になりたいし。

何より自分に『嘘』をつきたくない。
嘘ついて、自分を苦しめるようなことは絶対にしたくない。

意味の分からないプライド見せつけて、自分を上げたくない。
それで誰かを傷付けたくない。

多分、瑠璃は自分に嘘ついている。
麦が転校してしまったショックを隠すためだけに、彼女は僕を攻撃する。

そんなことして絶対に自分が辛いはずなのに。
『意味ない』って瑠璃も気付いているはずなのに。

だったらそれを僕が助けてみようかな。
瑠璃にそれは間違っていると教えてあげよう。

『意地張っても何も意味ない』って僕が教えてあげる。

僕はただ、『素直』になりたいだけなんだ。
人間素直になれたら、絶対に幸せになれるはずなのに。

なんでみんな気付かないんだろうと、中学一年生の世間知らずの僕は思った。

嘘を付けないさきねえを見て、僕はそう感じた・・・・。