「灰根さん、そろそろ。ってなんだお前は!？」

朦朧とした意識の中、鈍い打撃音がうっすら聞こえた。

「ねぇ君たち。なにやってんの？」

それは男の声だった。
どこかで聞いたことのある声だが、思い出せない。

「テメェは、川島？何でこんなところに？捕まったんじゃねぇのかよ!？」

「いや、答えになってないんだけど。何やってんだ、って聞いてるんだけど」

「ま、待て！分かったから、手は出すな！」

ぽんやり、うっすら映る早朝の風景。

そこには私と同じ高校の制服を着た男子生徒と、いつの間にか腰が抜けている灰根と男の姿があった。

同時に私は灰根の声が震えていることに気づく。
『あんなに威勢のよかった声はどこにいったんだろう』と思うと、少しだけ面白かった。

脅えた灰根は男子生徒にやられたのか、ぐったりしている相方の男を愛車の車に乗せる。
そして慌てて車のエンジンを付けて、どこかへ走り出して行った。

なんか急にカッコ悪くなったような・・・。

と言うか何があったの？

なんで男達は逃げていくの？

・・・・・。　

え・・・？