「みんな聞いて!秋祭りの屋台のメニュー決まったよ!」

厨房から嬉しそうな声と共に、樹々さんが現れた。
その両手に抱えるように持つのは料理が盛られたお皿。

なんだろうこれ。
サンドウィッチのようなハンバーガーのような。

とにかく、見たことのない料理だった・・・・。

「パンケーキバーガー!ハンバーグと野菜をおかずのように味付けしたパンケーキでサンドするという新商品。シロさんとお父さんからオッケー貰っちゃいました!」

その新商品を、樹々さんは僕らの座るテーブル席に置いた。

見た目は少し斬新だった。

程よくきつね色に焼けた二枚のパンケーキ間には、レタスやスライスしたトマトの野菜類と薄く焼いたハンバーグ。
しっかりと挟んではいるが少し不安定なな為、上から爪楊枝を刺して形を安定させる。

見た目はハンバーガーだ。
でもそのパンをパンケーキを代用して挟むという変わった料理に、みんなは釘付けだった。
「まだ決まってないよ。仕込みと仕上げの行程とか何を挟むか。あと原価率スゴく高いし。まだまだやることいっぱいあるわよ」

「ですよね・・・・」

城崎さんの言葉に、樹々さんは苦笑いを浮かべていた。
『残念だ』と言っていそうな樹々さんの表情の後、『頑張ろう』というような心の声が樹々さん聞こえた気がした。

「ってか食べてみてよ。今回は茜が作ったんだよ」

少し遅れてから茜さんと東雲さんが厨房から出てくる。
茜さんはみんなに注目されると、真っ赤な表情に変わっていった。

本当はみんな『そのままかぶり付きたい』と思っていそうだが、用意されたパンケーキバーガーは二つ。
不器用ながら、お姉ちゃんと樹々さんはナイフで切り分けてくれるが、原型が分からなくなるほどグシャグシャになって茜さんは怒っていた。

『せっかく頑張ったのに』って。
怒られる二人の姿に、瑞季や向日葵、そして橙磨さんは笑っていた。

僕はお姉ちゃんに切り分けられたパンケーキバーガーを取り皿に載せてもらう。
取り皿に盛ったら、本当に原型が何なのか分からなくなった。

そして思わずみんなはパンケーキとハンバーグを別々で食べようとしてしまった。
そしたら茜さんは『それじゃあ意味がない』とまた怒った。

でも『本番は取り分けないから大丈夫』って城崎さんがフォローを入れていた。

僕はそれを一口食べたみた。
ふわふわのパンケーキなんだけど、甘さ控えめのいつもと違う塩の効いたパンケーキにまず驚いた。

同時にハンバーグも食べてみたら、不思議な感覚に墜ちた。

「すごく美味しい」

思わず僕はそう呟いていた。
すると僕の声を皮切りに、次々に称賛の声が上がった。

そして茜さんとこのメニュー開発したと自慢する樹々さんは、嬉しそうな声を出した。

その様子を東雲さんは遠くで見ていた。