私は灰根の足を目掛けて、精一杯の力で蹴り上げた。
運良く当たった場所がスネだったから、灰根は痛そうに表情を強張った。

同時に私は灰根から解放された。

「いって!お前、蹴りやがったな?」

勝てない喧嘩をして、馬鹿だと思うならそれでいい。
馬鹿だから出来ないこともあるって言うのに。

「アンタ達って、ホントに私と同じで馬鹿だよね?」

正直、喧嘩する覚悟なんてない。
そもそもその『覚悟』があった所で何の意味があるのだろうか。

人生が変わるなら考える。
でも変わるという保証がない以上、『覚悟』や頑張った所で結果に結び付くとは限らない。

そんな私を『臆病者』と見られてもいい。
やる気がないと思われてもいい。

でも私はそう言う生き方を選んだ人の子だ。
と言うか、そういう生き方しか知らないのだから。

『馬鹿なら馬鹿らしく足掻いてみる』のも一つの生き様だと思うのに。

それが私の馬鹿な生き方なんだから!

・・・・・・。

でもやっぱり、馬鹿は馬鹿だ。

「テメェぶっ殺す」

案の定、私は男達に袋叩きにされた。
そして私はやっぱり馬鹿なんだって改めて納得。

私はひたすら顔や体を殴られ蹴られ続けた。
一応女の子相手なのに、本当に容赦しないんだと思いながら痛みに耐え続ける。

『殴られるだけにいつもより早く家を出た』って本当に馬鹿だ。

・・・・・・。

・・・・・ホント、バカだよね?