一面コンクリートの空き地。
他は何もない。

あると言えば、この男達が乗っていると思われる黒い車が一台あるだけ。

私はただ猫の鳴き声が聞こえただけだ。
それだけなのにどうして懐かしく、悲しい気持ちになるんだろう。

灰根と言う男は続ける。

「何とか言わないと、手出しちゃうよ?女の子だからって、容赦しねぇぞ?」

私は灰根に髪を引っ張られ、激しい痛みに襲われた。
その腕に抵抗するも、女の私は男の力には敵わない。

だから残された私の手段は、悲鳴を上げることしか出来なかった。

ホント、情けない・・・・・。

「痛い!」

私の悲鳴を聞いたもう一人の男は笑い始めた。

「きゃはは!ガン飛ばして、この有り様?馬鹿じゃねぇの?」

確かにその通りだ。
自分が馬鹿だとつくづく思う。

勝てもしない喧嘩を売ってこの有り様。
本当に馬鹿な私だと再確認出来た。

・・・・・・。

でも『馬鹿しか出来ないこと』だってあると私は思う。
後先考えず、今の出来事しか考えない馬鹿なら、この男達に抵抗することだって出来るはずだ。

何より駄目でもいいから、私の生き様を見せつけたい。