僕の背中や頭に何かが当たっていると思っていた。
それが何なのだろうと思ったが、あまりに気にしなかった。
気にしないでいたら、本当に気にならなくなった。
だから烏羽先生の言葉で、『僕は授業中でも瑠璃の攻撃を受けている』のだと気がついた。
瑠璃は烏羽先生に反論する。
「だって先生の授業つまらないし」
「つまらないからって、山村をいじめていい理由にはならないだろう。何考えているんだ。おいこら」
このクラスに絶対的な主導権を握るような中心的な人物はいない。
クラスを引っ張ろうとか、進んで学級委員長になりたいとか、そういう生徒はいなかった。
だからなのか、自分が怒られているような表情を浮かべて、下を向いて目を逸らす生徒が殆どだった。
『授業を再開してください』とか、瑠璃や僕を庇う生徒はいなかった。
そういえば瑞季への嫌がらせの落書きを見ても、クラスメイトは誰一人と消そうとはしなかった。
結局僕が消して瑠璃と対立した。
きっと僕や瑞季を庇うと、『自分がいじめられる』と感じたのだろう。
僕に手を差し出してくれた瑞季のように『今度は自分が酷い目に合う』って。
でもそれが間違っているとは思わない。
その通りだと僕は思う。
実際に瑞季は僕を助けてようとして、酷い目にあった。
痛い目には遇いたくないし、そこまでして『誰かを守りたい』とは思わない。
何より自分が一番可愛い。
だからと言って、黙って見てみぬフリをするのも間違っていると僕は思う。
そう思ったから、僕は瑠璃の行動が許せなかった。
瑞季へ攻撃する瑠璃が許せなかった。許せなかったから、僕は瑠璃に反撃した。
僕がやったことは、やって当然の事だと思っている。
困っている人がいたら助ける。
『それをみんなどうしてやらないの?』って僕は思う。
小学生で習ったらはずなのに。
『なんでそんな簡単な事を出来ないんだろう』と、僕は理解に苦しんだ。
それに『どうして他人事のように思うたのだろう』と疑問に思う。
だから僕は、クラスのみんなが『殻に隠る卑怯者』のように思えた。
安全な場所に逃げて戦おうとしない、『マヌケ野郎』だと僕は思う。
教室の中は無言が続いた。
『瑠璃が何かを言わないと授業は進まない』と言うような、そんな雰囲気だった。
何秒も何分も、烏羽先生は怖い表情を浮かべて瑠璃を見つめていた。
だけど授業には終わりの時間がある。
チャイムが鳴ると同時に烏羽先生は黒板に書き込んだ授業の内容を消して、何事も無かったかのように教室を出ていった。
その行動がまた不気味で、給食の時間になったというのに誰一人動こうとはしなかった。
まるで烏羽先生に『見えない鎖』で縛られたような、不自然な空気が流れていた。
暫くして担任の先生がやって来て、みんなはようやく授業が終わったんだと気が付いた。
それが何なのだろうと思ったが、あまりに気にしなかった。
気にしないでいたら、本当に気にならなくなった。
だから烏羽先生の言葉で、『僕は授業中でも瑠璃の攻撃を受けている』のだと気がついた。
瑠璃は烏羽先生に反論する。
「だって先生の授業つまらないし」
「つまらないからって、山村をいじめていい理由にはならないだろう。何考えているんだ。おいこら」
このクラスに絶対的な主導権を握るような中心的な人物はいない。
クラスを引っ張ろうとか、進んで学級委員長になりたいとか、そういう生徒はいなかった。
だからなのか、自分が怒られているような表情を浮かべて、下を向いて目を逸らす生徒が殆どだった。
『授業を再開してください』とか、瑠璃や僕を庇う生徒はいなかった。
そういえば瑞季への嫌がらせの落書きを見ても、クラスメイトは誰一人と消そうとはしなかった。
結局僕が消して瑠璃と対立した。
きっと僕や瑞季を庇うと、『自分がいじめられる』と感じたのだろう。
僕に手を差し出してくれた瑞季のように『今度は自分が酷い目に合う』って。
でもそれが間違っているとは思わない。
その通りだと僕は思う。
実際に瑞季は僕を助けてようとして、酷い目にあった。
痛い目には遇いたくないし、そこまでして『誰かを守りたい』とは思わない。
何より自分が一番可愛い。
だからと言って、黙って見てみぬフリをするのも間違っていると僕は思う。
そう思ったから、僕は瑠璃の行動が許せなかった。
瑞季へ攻撃する瑠璃が許せなかった。許せなかったから、僕は瑠璃に反撃した。
僕がやったことは、やって当然の事だと思っている。
困っている人がいたら助ける。
『それをみんなどうしてやらないの?』って僕は思う。
小学生で習ったらはずなのに。
『なんでそんな簡単な事を出来ないんだろう』と、僕は理解に苦しんだ。
それに『どうして他人事のように思うたのだろう』と疑問に思う。
だから僕は、クラスのみんなが『殻に隠る卑怯者』のように思えた。
安全な場所に逃げて戦おうとしない、『マヌケ野郎』だと僕は思う。
教室の中は無言が続いた。
『瑠璃が何かを言わないと授業は進まない』と言うような、そんな雰囲気だった。
何秒も何分も、烏羽先生は怖い表情を浮かべて瑠璃を見つめていた。
だけど授業には終わりの時間がある。
チャイムが鳴ると同時に烏羽先生は黒板に書き込んだ授業の内容を消して、何事も無かったかのように教室を出ていった。
その行動がまた不気味で、給食の時間になったというのに誰一人動こうとはしなかった。
まるで烏羽先生に『見えない鎖』で縛られたような、不自然な空気が流れていた。
暫くして担任の先生がやって来て、みんなはようやく授業が終わったんだと気が付いた。