話は進んで進行兼書記役の紗季がノートに何かを書き込んでいる。
その他のみんなは何かを考えているような表情を浮かべていた。

そしてテーブルの中央には何か分からない茶色い物体。

なんだこれ?
唐揚げかな?

形もイビツだし。

あまり手に取るのはやめておこうと思いながら、あたしは席に座った。

「樹々お姉ちゃんは今何が食べたいですか?」

瑞季の言葉に、あたしは思い出す。
そういえば朝から何も食べていない。

東雲さんが面接に向けて、気合いの入った朝食を作ってくれたけど、入りに準備しすぎて『食べ忘れた』のが本音・・・・。

だから今あたしはお腹が空いている。
そのイビツな形をした茶色い物体も食べたくはないが、何故か美味しそうに見える。

本当に鶏の唐揚げみたいに見えてきた。

ってかマジでなんなのこれ?

でも瑞季に聞かれたように、食べたい物なんてない。
それだけは何年考えても全く思い付かない。

「うーん、じゃあ」

でも強いて言うならしょっぱいのと、甘いものが食べたい。
あと手軽に、安くていつでも食べれそうなもの。

「ハンバーガーが食べたいな。あと甘いパンケーキも食べたいかも」

思い付いた食べ物に、あたしがそう言うと、みんなの視線があたしに集まる。

そして少し間を置いてから橙磨さんは言った。

「いいじゃん。それ」