茜も当時の親友にいじめられた。
結果茜は心を閉ざして、『中学時代は誰とも関わることが無かった』と言っていた。

今でも茜はその親友の顔を思い出すと、頭痛と吐き気が襲ってくるみたいだ。
きっと精神的なストレスなんだろう。

茜の辛そうな表情を、あたしは何度も見てきた。
一方の小緑は一体今までどんな気持ちで生きていたのだろうか。

何よりこれから先、小緑は心の傷を負いながら一生生きていかなければならないのだろうか。

茜が苦しんで経験した道を、小緑も経験しようとしている。
このままじゃ、小緑は誰にも心を開かなくなってしまう。

それだけは絶対に嫌だ。
折角友達になったというのに。

あたしだって小緑を救いたい・・・。

「でも親友っていう過去があるなら、助けても問題ないと思う。と言うか助けるべきだと思う!疎遠したままって、多分辛いし。その人の事を思い出したら、一生辛い思いをしなきゃならないし。あたしだったらそんな残念な結果で終わりたくない」

小緑を元気付けようと、あたし頭を回転させて言葉を組み立てた。
自分の意思を伝えてみた。

あたしは幼いときから、『信頼できる友達』なんていなかった。
だから、あくまで想像でしか話せない。

でも世間の知識のないあたしでも、それだけは自信持って言える。

絶対に『今のあたしの言葉は間違ってない』と言える。
シロさんやお母さんと一緒に友人作りの作戦を立てた入学式の前日。
わざわざ髪型も色も変えて挑んだ入学式。

結果、初日から桑原茜という友達が出来た。
その友達が遠くに行ったり、居なくなったりしたら、あたしはきっと耐えられない。

耐えられないなら、ずっと仲良くしていた方が絶対にいいと思う。
『嘘でも仲良くしていたら、きっといつの間にか本当の親友になっている』って、あたしはそう思う。

一方の小緑はあたしの言葉を理解してくれたのか、小さく頷く。

「そうですよね。でも今はこんな関係だし、上手くやっていける気がしない。でもやっぱり変でよね?絶縁した相手と復縁するって」

不安げな声で話す小緑に言葉はないかと、あたしは再び必死に考える。
『そんなことはない』と、自分にも小緑にも分かりやすい答えを必死に探す。

でも考えたけど、言葉は出てこなかった。
と言うか見つからなかった。

逆に『そこに変という言葉を当てはめる事が変なんだ』って、それだけは分かった。

だから、あたしは難しく考えずに、ありのままで答える・・・・。