「このやろう!紗季と同じで生意気な奴め!姉妹揃って性格ひん曲がってるんだから!」

「さきねぇは確かに心も性格も荒んでますけど、僕はまともですよ。何一つ不自由ない生活ですし。学校生活も悪くないですし」

靴を捨てられて言うのも変だが、本当だ。
靴や机など瑠璃にめんどくさい事をされているが、学校生活は問題ない。

友達はいないが、元々一人で過ごすことに違和感や孤独を感じたことがない。

だから、『これが山村小緑の生き様だ。一匹狼だ』って、僕は自信を持ってみんなに言える。

言いたくなる。

・・・・・・・。

なんて僕は思うが、お姉ちゃんの前でそんなことを言ったら怒られるだろう。
『私がどれだけ親の変わりにこっちゃんの事を心配しているの?』って。

それこそまるで、お母さんのように・・・・・。

「僕、家こっちなんで。それじゃあ」

だから家に帰ったら、お姉ちゃんの前では不安げな表情を浮かべずに、いつも通りの山村小緑でいよう。
そうすればお姉ちゃんも安心してくれるだろうし。

それに、まさか盗聴器が仕掛けられているわけじゃないし。
見えない僕を知ることは不可能だ。

・・・・・・。

うん、もっと頑張ろう。

「一人で大丈夫?」

「はい」

樹々さんの言葉に、僕は心配させないように笑顔を見せた。
相変わらず不安げな表情を見せる瑞季が気になったが、後はお姉ちゃんに慰めてもらえばいい。

僕もきっと、家に帰ったらお姉ちゃんに色々と質問攻めされるのだから。