今度は瑠璃が僕に飛び付くように体当たりをしてくる。
体制を崩す僕を見て、瑠璃は僕の上に股がってきた。

そして僕の顔を殴ろうと、拳を握っていた。

だがそれは必死に両手で受け止めた。
正直いってあまり痛くない。

一方の砂田は何も言わずに、ただ僕達を見下ろしていた。
助けようとか、瑠璃に手を貸そうとか一切しない。

本当に瑠璃からの指示かないと動かないロボットのような奴だ。
何考えているんだろう?

「おいこら!こんなところで何やってるんだ!」

そんな中、聞き慣れない大人の男の声が聞こえた。
声のする屋上への入り口を確認すると、ジャージ姿の体育の先生が険しい表情で僕達を見ていた。

そしてその先生の後ろ、男子生徒の影が見えた。
顔はわからない。

男子の制服を着ていたから男だと思うけど、男にしては体格は小柄だった。

もしかして、彼が知らせたのだろうか。

瑠璃は直ぐに真っ青な表情に変わる。

「は!?なんでここに先生?意味わかんない!」

珍しく僕も瑠璃と同じことが脳裏に浮かんだ。
そして『最悪な状況』だと理解した。

屋上は基本的には立ち入り禁止。
鍵はかかっているのだが、鍵穴を小銭でこじ開けると開くことが出来るのだ。

それに生徒と喧嘩をしていた所を見られたから、『暴力を振るった』として『謹慎』になる可能性もある。

あと僕のポケットに携帯電話があるし、『本来学校に預けるべき物』を見つかったら本気で先生に怒られる。

瑠璃は舌打ちと共に、僕の元から離れた。
綺麗な金髪を揺らすと、再び彼女は舌打ち。

僕も逃げることは不可能だと理解して、強張った先生の指示に従った。
砂田は表情一つ変えず、無言を貫き通した。

そして僕達は砂田同様に無言のまま、生徒指導部の部屋に連れていかれた・・・・・・。