僕は瑠璃の腹部を目掛けて精一杯の頭突きを喰らわした。
あまり手応えは無かったが、瑠璃は怯んだように見えた。

同時に僕は素早く携帯電話を取り返す。

でも瑠璃も反撃してくる。

「痛ってえな!何しやがるんだ!」

腹部を押さえながら瑠璃は抵抗してきた。
運動は苦手な瑠璃だけど、そんなの関係ないと言うように僕に飛び付く。

瑠璃は僕の友達だった。
昔から性格は悪かったが、僕のよき理解者だった。

よく悪ふざけをして、遊んでいたっけ。

そしてその中心にいたのは僕でも瑠璃でもなく、『金子麦』という額に『正義』と書かれたような真面目な少年だった。

悪ふざけをする僕と瑠璃の姿を見て、彼は毎日怒っていた。
『いい加減にしろ』って・・・・・・。

でも彼が転校してから、僕らの関係は大きく変わった。
まるで僕らの友情関係を大きなハンマーで壊したように、今は跡形も残っていなかった。

ちなみに今の瑠璃とは『友達』でもなんでもない。
ただの腹が立つクラスメイトだ。

顔も見たくない。

だからきっと、今の僕達の関係をみたら麦はもっと怒るだろう。

『なにやっているんだ!』って。
『僕達仲良かっただろ?』って。

・・・・・・。

本当に僕もそう思う。
なんでこんな関係になっちゃったんだろう。