それから城崎さんはオーダーのドリンクを作りながら、お客さんである春茶先生と栗原先生と話していた。
私は気が付いたらボーッとしていて、隣でゲームをする小緑のゲーム機を眺めていた。
そのゲームの内容はよく分からなかった。
漫画のようにキャラクターと台詞だけが出てくる。
紗季がよくやっている敵を倒すゲームではなさそうだ。
そして樹々は暇なのか、近くを通る度に私に声を掛けてくる。
何て言うか、お父さんと一緒に仕事をしているからか、彼女の笑顔が耐えない。
お母さんが倒れたというのに、強い女の子だと思う。
そんな中、樹々の新しい家族がまた二人、店内に入ってきた。
女の子にも見える顔立ちの男の子と、暗い表情の女の子が入ってきた。
初めて見る子だ。
城崎さんも二人の存在に気がつく。
「あら、瑞季くんと向日葵ちゃん。お帰りなさい。どうだった?お母さんに会えた?」
「はい。何て言うか、よく寝てました」
瑞季がそう言うと、隣の向日葵は瑞季に飛び付いた。
辛いことに耐えられなくなって、お兄ちゃんの胸に飛び込む。
お母さんの姿に、妹の向日葵は耐え切れなかったのだろう。
「瑞季、向日葵おかえり。って向日葵泣いてるし」
その二人のお姉ちゃんはそう言うと、二人に笑顔を見せた。
樹々は妹である向日葵の頭を撫でると、弟の瑞季を見て小さく微笑んだ。
まるで、『辛い時こそ笑っていようよ』とでも言うように・・・・・。
でも若槻家にとっては、あまりにも辛い現実だ。
樹々の笑顔を見て瑞季も安心したのか、瑞季は姉である樹々に抱きついて泣いていた。
そしてお姉ちゃんである樹々もそ瑞季涙を見て、同じように涙を溢した。
まるで今まで溜まっていたもの吐き出すように、二人の小さな家族は泣き続けた。
直ぐに城崎さんに呼ばれて、三人の父親である東雲さんが厨房から出てきた。
そしていつもの優しい笑みを見せて我が子を一人一人励ましてくれていた。
樹々もいつの間にかお父さんに飛びついて泣いていたっけ・・・・・。
若槻杏子(ワカツキ キョウコ)。
それはこの家族のお母さんの名前だ。
でもそのお母さんは今、集中治療室で眠っている。
家族で出掛けてから、お母さんは目を覚まさない。
三人は今日お母さんの顔を見てきたようだった。
変わり果てたお母さんの姿に、みんな言葉を失ったのだろう。
三人は東雲さんに連れられ、カウンター席に座った。
樹々も『今日はお疲れ様』と言う城崎さんの言葉に、人生初めてのアルバイトを終えた。
その様子を私はただ黙って見ていた。
悲しみ戦い続ける一家だけど、正直言って『羨ましいな』って思いながら。
だって、年の近い兄弟って羨ましいし。
私にも兄はいるけど年は離れているし、ある意味私は『一人っ子』のように育てられたし。
お母さんもいないし。
だから、『普通の幸せな一家』ってどんな感じなんだろうと私は考えていた。
同時に思った。
どうして私の父はお母さんの事を話してくれないんだろうって。
なんだか不思議に思ってしまった・・・・・・。
私は気が付いたらボーッとしていて、隣でゲームをする小緑のゲーム機を眺めていた。
そのゲームの内容はよく分からなかった。
漫画のようにキャラクターと台詞だけが出てくる。
紗季がよくやっている敵を倒すゲームではなさそうだ。
そして樹々は暇なのか、近くを通る度に私に声を掛けてくる。
何て言うか、お父さんと一緒に仕事をしているからか、彼女の笑顔が耐えない。
お母さんが倒れたというのに、強い女の子だと思う。
そんな中、樹々の新しい家族がまた二人、店内に入ってきた。
女の子にも見える顔立ちの男の子と、暗い表情の女の子が入ってきた。
初めて見る子だ。
城崎さんも二人の存在に気がつく。
「あら、瑞季くんと向日葵ちゃん。お帰りなさい。どうだった?お母さんに会えた?」
「はい。何て言うか、よく寝てました」
瑞季がそう言うと、隣の向日葵は瑞季に飛び付いた。
辛いことに耐えられなくなって、お兄ちゃんの胸に飛び込む。
お母さんの姿に、妹の向日葵は耐え切れなかったのだろう。
「瑞季、向日葵おかえり。って向日葵泣いてるし」
その二人のお姉ちゃんはそう言うと、二人に笑顔を見せた。
樹々は妹である向日葵の頭を撫でると、弟の瑞季を見て小さく微笑んだ。
まるで、『辛い時こそ笑っていようよ』とでも言うように・・・・・。
でも若槻家にとっては、あまりにも辛い現実だ。
樹々の笑顔を見て瑞季も安心したのか、瑞季は姉である樹々に抱きついて泣いていた。
そしてお姉ちゃんである樹々もそ瑞季涙を見て、同じように涙を溢した。
まるで今まで溜まっていたもの吐き出すように、二人の小さな家族は泣き続けた。
直ぐに城崎さんに呼ばれて、三人の父親である東雲さんが厨房から出てきた。
そしていつもの優しい笑みを見せて我が子を一人一人励ましてくれていた。
樹々もいつの間にかお父さんに飛びついて泣いていたっけ・・・・・。
若槻杏子(ワカツキ キョウコ)。
それはこの家族のお母さんの名前だ。
でもそのお母さんは今、集中治療室で眠っている。
家族で出掛けてから、お母さんは目を覚まさない。
三人は今日お母さんの顔を見てきたようだった。
変わり果てたお母さんの姿に、みんな言葉を失ったのだろう。
三人は東雲さんに連れられ、カウンター席に座った。
樹々も『今日はお疲れ様』と言う城崎さんの言葉に、人生初めてのアルバイトを終えた。
その様子を私はただ黙って見ていた。
悲しみ戦い続ける一家だけど、正直言って『羨ましいな』って思いながら。
だって、年の近い兄弟って羨ましいし。
私にも兄はいるけど年は離れているし、ある意味私は『一人っ子』のように育てられたし。
お母さんもいないし。
だから、『普通の幸せな一家』ってどんな感じなんだろうと私は考えていた。
同時に思った。
どうして私の父はお母さんの事を話してくれないんだろうって。
なんだか不思議に思ってしまった・・・・・・。