犯人は同じのクラスの男の子だった。
大人しい性格であまり目立たない彼だけど、心は腐っていた。

人の失敗を嘲笑い、踏みにじる性格の男の子。
そしてクラス代表リレーで小緑を退場にさせた悪魔の子供。

運動神経も良くて、足も速かった彼は代表リレーに選ばれた。
アンカーの一つ手前で走る彼は小緑の前の区間を走っていた。

そんな彼は小緑にバトンを渡すフリをして、目の前の小緑の足を絡めた。
小緑に恥をかかせるように、大ケガを負わせるように。
動機は、特にないらしい。
ただ人が困る姿を見るのが好きだったとか。

『社会からはみ出した兄の影響だ』と言っていたらしい。
それと『自分の次に走る目の前の山村小緑がどんな顔をするのか楽しみだった』って彼は言っていた。

そして彼は不登校になってしまった・・・・・。

いじめの主犯も見つかって、これで終わりだと思った。

いじめに関わった生徒は小緑と麦に謝れば終わった話だったのに・・・・。

・・・・・・。

麦は転校してしまった。
いじめのショックから心を閉ざしてしまって、父の実家のある遠い地方に引っ越ししてしまった。

クラスから麦はひっそりと消えて、最初からそんな生徒は居なかったかのように、クラスメイトは麦のことなんて忘れていた。

同時に瑠璃も帰ってこなかった。
大好きな麦も転校してしまって、瑠璃の心は破壊されたまま。

元気でイタズラ好きの女の子とは別人で、闇に落ちたような怖い目付き。
いつも以上に人を困らせるような事ばかり考えるようになってしまった。

礼儀も忘れて、恩も忘れた。

そして小緑が友人だった事も忘れてしまった。

瑠璃の中では友達の小緑のことを『大好きな人を追い込んだ悪者』に変わってしまったようだった。
『小緑がしっかりしていれば、麦はいじめられて転校することもなかった』って。

彼女は何度も小緑に叫んだ。

そして理不尽に小緑を攻撃した。
小緑はただの被害者なのに、小緑を恨んだ・・・・。