事始まりは今から二年前の出来事。
当時小学五年生だった小緑には友達がいた。

その友達とは正義感に溢れた金子麦(カネコ ムギ)という男の子と、さっきまで来店していた品のない言葉を使う大村瑠璃(オオムラ ルリ)という金髪の女の子のことだ。
そこに小緑も加えて三人で毎日楽しい日々を過ごしていた。

でも小学校の運動会の日に事件は起きた。

それは運動会最後の種目であるクラス代表リレー。
各クラスから四人、男女二人づつメンバーを選抜して足の速さを競争する。

同時五年二組だった小緑は、四人の中のメンバーに選ばれた。
スポーツが得意な小緑は、最後の区間であるアンカーを任された。

絶対に負けないと結成されたクラスの最強メンバー。
高学年を対象としたリレーで、小緑のクラスは五年生ながら、六年生にも大差を付けるほど大きく大差を付けてトップを走っていた。

二位との差もかなり開いていた。

このまま順調に走れば、一位は間違いなかった。
アンカーの小緑は前の走者からタスキを難なく受けとり、同じ区間の誰よりも早くスタートを切った。

でも、そのリレーの結果は最悪の結果だった。
小緑のクラスは最下位となってしまった。

理由としては一つ。
アンカーの小緑がスタートしたと同時に、激しく転倒してしまったから。

まるで誰かに足を掛けられてしまったかのように、コースから飛び出し小緑は頭から突っ込んでしまった。

小緑の肘や膝は擦り剥き、酷く出血していた。
それでも走ろうと、小緑は泣きそうな表情で立ち上がろうとするも、慌てて駆けつけた先生達によって棄権となった。

代表リレーは最後の種目だったため、小緑のクラスの雰囲気は最悪で、まるでお通夜のような不気味な雰囲気に包まれた。

クラスの順位も、代表リレーの成績が響き優勝を逃した。