疲れて空腹だった私達は料理の奪い合いだった。
どれを食べても美味しい料理に、私は樹々が羨ましいとそんなことを思ってしまった。

それと食事中の樹々の表情が以前と違うことに気が付いた。
別人のような、食べることを楽しみにする、どこにでも居そうな一人の女の子ような表情。

そういえば樹々が学校で食べる昼御飯は自分で作った具のないオニギリを食べていたっけ。
最近はお父さんの作る弁当を持って来て、いつも美味しそうに食べていた。

樹々も変わったよね・・・・。

少し遅れてから城崎さんに呼ばれた紗季がやって来た。
よく寝ていたのか、寝ぼけたような彼女の表情が面白くてみんなは笑った。

紗季は真っ赤なリンゴのように恥ずかしそうな表情を浮かべていた。
そして『迷惑をかけてごめんなさい』と、最後はみんなに頭を下げていた。

一方で小緑はいつものおっとりした彼女に戻っていた。
マイペースでよく食べて、橙磨さんとよく喋っていた。

あの時厨房で二人で何を話したのかは分からない。
だけど、ひとまず収まったことは理解できた。

食べ終えた頃にはみんな眠気に襲われた。
きっとみんな慣れない動きに疲れたのだろう。

『夜の営業まで時間あるから、寝てて良いわよ』と城崎さんに言われたので、私達は試しに客席の椅子の上で横になった。

そうしたら疲れていた私達はいつの間にか寝ていた。
ぐっすり、吸い込まれるようによく寝た・・・・・。

本当に、疲れた・・・・。

・・・・・・・・・。