「美憂さん。これは冷ました方がいいですか?」
その声の持ち主は大きな鍋を持って厨房から現れた。
優しい男の人の声。
見たことない人だ。
眼鏡を掛けた、優しそうな表情の男性。
彼もここのスタッフなのか、ここの店の制服と思われる城崎さんと同じ白のワイシャツを着ている。
「はい!氷に当て冷やしてください!」
「わかりました」
城崎さんの言葉に男の人は小さく頷くと私達の存在に気が付いた。
笑顔で『いらっしゃいませ」』と言う姿は、どこか本物のサービスマンのようにも見えて格好いいと思ってしまった。
そして男の人は樹々と目が合う。
「おや、樹々ちゃん。お母さんはどうでしたか?」
樹々と知り合いなのだろうか。
それにお母さんって・・・・。
一方の樹々は苦笑いを浮かべる。
「あはは・・・・そうだった。『日曜日はシロさんのカフェを手伝う』って言っていたんだった」
「態々来てくれてありがとうございます。瑞季くんと向日葵ちゃんも後で来ますので」
そう言って、優しい表情見せる男の人は自己紹介をしてくれる。
「申し遅れました。樹々ちゃんの父である若槻東雲(ワカツキ シノノメ)と申します。どうか、宜しくお願いします」
その名前を聞いて私は思い出した。
顔を真っ赤に染めて、恥ずかしそうに苦笑いを浮かべている親友の名前を・・・・。
若槻樹々(ワカツキ キキ)。
それが今の彼女の名前だ。
樹々は杏子さんと東雲さんの養子に入り、名字が『松川』から『若槻』に変わったのだった。
なんでこんなことすっかり忘れていたのだろうか。
そんな中、突然橙磨さんの驚いた声が聞こえる。
「ってことは、杏子さんの?マジっすか」
橙磨さんが何について驚いているのかは分からない。
まるで『お世話になっています』と言っているように、橙磨さんは何度も頭を下げていた。
そしてその様子を、東雲さんは笑って『よして下さい』と言っていた。
橙磨さんの過去と関係あるのだろうか?
「僕、手伝います」
そう言った直後、橙磨さんは私達に平謝り。
「ってごめんね。僕から遊ぼうなんて誘っておいて。また今度でいいかな?」
その橙磨さんの声に樹々も続く。
「じゃああたしも手伝います!しの・・・・、お、お父さんが働いているし。シロさんにいつも頼ってばっかりだし」
申し訳なさそうな顔を浮かべる橙磨さんとやる気に満ちた樹々の姿に、紗季も心を決めたようだった。
「じゃあ私も手伝います。私は何出来るか分からないけど。こっちゃんも一緒にお手伝する?」
大きなヘッドホンを耳に当てている小緑は小さく頷いた。
ふと思ったが小緑は何の音楽を聴いているのだろうか。
って、こんな時に関係ない事を考えてしまう私はどうかしているのだろうか・・・・。
その声の持ち主は大きな鍋を持って厨房から現れた。
優しい男の人の声。
見たことない人だ。
眼鏡を掛けた、優しそうな表情の男性。
彼もここのスタッフなのか、ここの店の制服と思われる城崎さんと同じ白のワイシャツを着ている。
「はい!氷に当て冷やしてください!」
「わかりました」
城崎さんの言葉に男の人は小さく頷くと私達の存在に気が付いた。
笑顔で『いらっしゃいませ」』と言う姿は、どこか本物のサービスマンのようにも見えて格好いいと思ってしまった。
そして男の人は樹々と目が合う。
「おや、樹々ちゃん。お母さんはどうでしたか?」
樹々と知り合いなのだろうか。
それにお母さんって・・・・。
一方の樹々は苦笑いを浮かべる。
「あはは・・・・そうだった。『日曜日はシロさんのカフェを手伝う』って言っていたんだった」
「態々来てくれてありがとうございます。瑞季くんと向日葵ちゃんも後で来ますので」
そう言って、優しい表情見せる男の人は自己紹介をしてくれる。
「申し遅れました。樹々ちゃんの父である若槻東雲(ワカツキ シノノメ)と申します。どうか、宜しくお願いします」
その名前を聞いて私は思い出した。
顔を真っ赤に染めて、恥ずかしそうに苦笑いを浮かべている親友の名前を・・・・。
若槻樹々(ワカツキ キキ)。
それが今の彼女の名前だ。
樹々は杏子さんと東雲さんの養子に入り、名字が『松川』から『若槻』に変わったのだった。
なんでこんなことすっかり忘れていたのだろうか。
そんな中、突然橙磨さんの驚いた声が聞こえる。
「ってことは、杏子さんの?マジっすか」
橙磨さんが何について驚いているのかは分からない。
まるで『お世話になっています』と言っているように、橙磨さんは何度も頭を下げていた。
そしてその様子を、東雲さんは笑って『よして下さい』と言っていた。
橙磨さんの過去と関係あるのだろうか?
「僕、手伝います」
そう言った直後、橙磨さんは私達に平謝り。
「ってごめんね。僕から遊ぼうなんて誘っておいて。また今度でいいかな?」
その橙磨さんの声に樹々も続く。
「じゃああたしも手伝います!しの・・・・、お、お父さんが働いているし。シロさんにいつも頼ってばっかりだし」
申し訳なさそうな顔を浮かべる橙磨さんとやる気に満ちた樹々の姿に、紗季も心を決めたようだった。
「じゃあ私も手伝います。私は何出来るか分からないけど。こっちゃんも一緒にお手伝する?」
大きなヘッドホンを耳に当てている小緑は小さく頷いた。
ふと思ったが小緑は何の音楽を聴いているのだろうか。
って、こんな時に関係ない事を考えてしまう私はどうかしているのだろうか・・・・。