「あっ!ちょ、ズルい!さきねぇ出てくるなんてズルい!」

隣で手の動きを止めずに小緑が吠えている。
一方で『そうだよね』と私も思った。

ここのゲーム機の記録は殆ど小緑が作ったものだ。
昨日までは毎日と言ってもいいほど、小緑はここで時間を潰していた。

まるでここが我が家のように。
自分の帰る所はゲームセンターだも言っていているように。

でも小緑、このゲームだけは私に勝てない。
このゲームは私が唯一、病気の事を気にせず思いきって遊べる体感ゲームだから。

私が唯一無意識に笑顔が溢れる遊びだから、私の力は無限に発揮する。

一人のゲーム好きとして、意地でも負けたくない。

・・・・・・・。

負けたくないんだ。