そこから茜ちゃんは何も喋らなかった。
ずっとブレスレットを眺めて、また何かについて考え始める。

どうやら茜ちゃん、昨日の一件でかなりダメージを受けたみたいだ。
本人は気が付いていないだろうが、今にも泣きそうな表情を見せている。

まあでも、私から今のその表情を見たら嬉しいんだけどね。
こんなにも小緑の事を考えてくれる人っていないし。

『茜ちゃんは小緑の味方だ』って理解したら、お姉ちゃんとして凄く嬉しいし。

そして今の茜ちゃんの気持ちを吹き飛ばせるような声が近くから聞こえてくる。

「やあ。急に呼び出してごめんね。樹々ちゃんと偶然出会って遊ぼうかなって。ってか遊ぶんだっらみんなで集まった方がよくね？って感じで 」

その男の子の声の方を振り返ったら笑顔の橙磨くんといつもと違う服装の樹々ちゃんの姿があった。

どうやら全員揃ったみたいだ。
何故だか橙磨さんと樹々ちゃんの表情は明るい。

そんな二人の姿に私は内心ホッとして笑った。
『これで茜ちゃんも元気になってくれるんだろう』って、ふとそんなことを思った。