「いや、ちょっと待てよ!いじめは確かにあった。僕も知っているし。それに根岸くんから連絡してくれたじゃんか。『今は普通の学生生活をしている』って。でも犯人は、」

「犯人なら突き止めた」

僕の声を上書きする根岸くんの声に、嫌な予感がした。

・・・・・。

いや、本当はずっとしていた。
『まさか犯人はずっと側にいたんじゃないか?』って。

『案外身近に根岸くんをいじめている人が居る』って思ったら、もう嫌な予感しかしなかった。
犯人を突き止めるということで、俺達クラスメイトはお互いを信用すると同時にお互いを疑った。
だが誰一人、怪しいものはいなかった。

徹底的に探したというのに。

僕は個人的にも毎日犯人を探した。
当時は中学三年生で『受験勉強なんてどうでもいい』と思えるほど、僕は根岸くんのためにクラス全員に話を聞き込んだ。

でも怪しい人なんていなかった。

でもただ一人。
一人だけ話を聞いていなかった人物がいる。

理由としては聞く必要がなかったと思ったから。
『こいつがするわけない』って、勝手に決めつけていたから。

何よりいつも一緒にいる僕の仲間が犯人だと死んでも思いたくなかったから。

桃花がするわけないとずっと思っていたから・・・・。

・・・・・・・。

「その犯人は、そこのクソ女だ!川島桃花!お前は助けるフリをして、俺に害を与え続けた!俺は、お前がこの世から居なくなるまで許さない!」

本音を言えば、根岸くんの言う通りだ。
僕も桃花が犯人だと思う・・・・。