電車に揺られながら僕は昔の出来事を樹々ちゃんに話した。

桃花が眠ってしまった原因や、僕が逮捕された二年前の事件。

そして杏子さんに助けてもらった日の出来事。
終始まるで自分の事のように考える樹々ちゃん姿は、本気で聞いてくれているんだと思った。

僕の家庭も複雑な家庭だった。
昔は仲のいい家族だったけど、次第に関係も壊れてしまった。

母も父の会社のお金を横領して姿をくらませるし。
父も僕らを見て、よく怒るようになるし。

家族関係が壊れた原因は僕は知らない。
ただ覚えているのは、今から四年前の高校一年生の時に桃花が父と喧嘩していたこと。

桃花は泣きながら父に飛び掛かって行ったっけ。
どうして二人が喧嘩をしているのか、僕は知らない。

思い出したくない・・・・・・。

そこから桃花は僕を連れて家出。
その日は凄く寒く、雪の降っていた『クリスマス』だったってことはよく覚えている。

家族以外に身寄りがいない僕らは、『街に行くとバカップルがいっぱいいる』と言う理由で、寒い公園に向かった。
思った通り公園には人は一人もいない。

本当にこれからどうするんだろうと、焦り出す僕と桃花。
そんな僕らを助けるように、大きな体格の男の人が僕らの前に現れた。

名前は若竹昭二(ワカタケ ショウジ)さん。
近くで焼鳥屋を営む強面のおじさんだ。