九月末の若槻家の家族旅行中に杏子さんは倒れた。
シロさんの話ではかなり重症らしく、杏子さんが生きている事自体が奇跡らしい。
意識が戻ったとしても、社会復帰は難しいとか。
後遺症も酷いとか。
くも膜下出血で元通りの生活を送れる人は、ほんと僅かな人だけ。
でも必ず杏子さんは帰ってくるだろう。
必ず樹々ちゃんを迎えに来てくれる。
それに樹々ちゃんと家族になろうと約束もしたみたいだし。
だから今はきっと『樹々ちゃんのお母さん』として、杏子さんも頑張っているのだろうだから。
杏子さんの家族を想う精神は半端じゃない。
「杏子さんは強いから大丈夫だよ。絶対に帰ってくるし、杏子さんはこんな状況でも樹々ちゃんの事を心配していると思うし。だから樹々ちゃんがそんな暗い顔をするのはよくないと僕は思うけどね。それにお母さんに暗い顔見せたら心配されなかった?こう言う時こそ、嘘でも笑っていないと。樹々ちゃんは笑顔が似合うんだからさ」
僕らしくない言葉に抵抗があったが、今は樹々ちゃんを元気するためだけの言葉を考えた。
『橙磨さんらしくない言葉』と言って、否定して笑ってくれればいい。
と言うか『過去の自分が出来て今は出来ない』とかあり得ないし。
『昔は出来た』と言う証明があるからこそ、逆に『今も出来る』と思うし。
一方で、僕のらしくない言葉を聞いた樹々ちゃんは笑ってくれた。
まだいつもの笑顔じゃないけど、少し安心したような表情。
「そうですよね。あたしが笑わないと、お母さん怒ってきますもんね。『また樹々ちゃんは暗い顔している』って。何よりもうお母さんには怒られたくないし。あたしの暗い顔が嫌いだし」
そう言って変わってくれると僕も嬉しい。
僕も『変わった事を言ってよかった』と思うし。
樹々ちゃんはやる気に満ちた表情を見せていた。
そしてお母さんに笑顔見せると、優しく語りかけていた。
『あたし、今日もあたしとみんなのために頑張ってみる』って、樹々ちゃんらしい言葉。
何故だか僕もやる気が出てくる。
そんな樹々ちゃんに僕は提案してみる。
ふと思い付いた言葉。
「ねぇ、樹々ちゃん。どっか遊びに行かない?」
特に話したいことはない。
ただ『この樹々ちゃんの笑顔が続いてほしいな』って思っただけ。
このまま樹々ちゃんを一人にすると、またさっきの表情に戻ってしまうかもしれないし。
それに僕もその経験はある。
シロさんの話ではかなり重症らしく、杏子さんが生きている事自体が奇跡らしい。
意識が戻ったとしても、社会復帰は難しいとか。
後遺症も酷いとか。
くも膜下出血で元通りの生活を送れる人は、ほんと僅かな人だけ。
でも必ず杏子さんは帰ってくるだろう。
必ず樹々ちゃんを迎えに来てくれる。
それに樹々ちゃんと家族になろうと約束もしたみたいだし。
だから今はきっと『樹々ちゃんのお母さん』として、杏子さんも頑張っているのだろうだから。
杏子さんの家族を想う精神は半端じゃない。
「杏子さんは強いから大丈夫だよ。絶対に帰ってくるし、杏子さんはこんな状況でも樹々ちゃんの事を心配していると思うし。だから樹々ちゃんがそんな暗い顔をするのはよくないと僕は思うけどね。それにお母さんに暗い顔見せたら心配されなかった?こう言う時こそ、嘘でも笑っていないと。樹々ちゃんは笑顔が似合うんだからさ」
僕らしくない言葉に抵抗があったが、今は樹々ちゃんを元気するためだけの言葉を考えた。
『橙磨さんらしくない言葉』と言って、否定して笑ってくれればいい。
と言うか『過去の自分が出来て今は出来ない』とかあり得ないし。
『昔は出来た』と言う証明があるからこそ、逆に『今も出来る』と思うし。
一方で、僕のらしくない言葉を聞いた樹々ちゃんは笑ってくれた。
まだいつもの笑顔じゃないけど、少し安心したような表情。
「そうですよね。あたしが笑わないと、お母さん怒ってきますもんね。『また樹々ちゃんは暗い顔している』って。何よりもうお母さんには怒られたくないし。あたしの暗い顔が嫌いだし」
そう言って変わってくれると僕も嬉しい。
僕も『変わった事を言ってよかった』と思うし。
樹々ちゃんはやる気に満ちた表情を見せていた。
そしてお母さんに笑顔見せると、優しく語りかけていた。
『あたし、今日もあたしとみんなのために頑張ってみる』って、樹々ちゃんらしい言葉。
何故だか僕もやる気が出てくる。
そんな樹々ちゃんに僕は提案してみる。
ふと思い付いた言葉。
「ねぇ、樹々ちゃん。どっか遊びに行かない?」
特に話したいことはない。
ただ『この樹々ちゃんの笑顔が続いてほしいな』って思っただけ。
このまま樹々ちゃんを一人にすると、またさっきの表情に戻ってしまうかもしれないし。
それに僕もその経験はある。