山村紗季と紫。
彼女の名前にある色と同じ色のブレスレッド。

間違いなく紗季にプレゼントするものだったんだろう。

そしてそのブレスレッドを買う時点で、『小緑が紗季の事を嫌う』と言う言葉が『嘘』だということにもなる。

ってか普通、喧嘩しているお姉ちゃんにプレゼントなんて買わないつーの。

そんなお姉ちゃん想いの小緑に、私は問い掛ける。
最後にちょっぴり意地悪なことを言ってみる。

「やっぱり小緑も『紗季の事嫌い』って言いながら、本当は好きだったんだね?本当は大好きなんでしょ?」

「そんなことはない!本当に嫌いだったの」

「だったらいいじゃん」

『だった』か。
そう聞いて、私はここに来た意味があったと思った。

エレベーターの扉は閉まって下降する。
最後に小緑は何かを言っていたようにも見えたけど、視界から彼女が消えてたから分からなかった。

そして私はようやく解放されたと、大きなため息を吐いた。
疲れて早く寝たい気分。

そういえば朝から何も食べてない。
明日からからまた普通の日常に戻れる。

・・・・・。

でも、これで終わったらいいんだけどね。