一方で紗季の家庭はどうなんだろうか。
正直言って何も知らない。

紗季の家に遊びに行ったことはあるが、両親にも会ったことないし。

『共働きで夜遅くまで両親は働いている』と聞いたことがある。
紗季も難病を抱えながら、大変な人生を送っているのだろう。

だけど、そんなことを私が考えていても仕方ない。
もう家族の事にあまり口出ししたくないし。

そう言えば草太(ソウタ)は元気にしているのだろうか。
遊ぶ約束しながら、あれ以来会っていない。

というか連絡先なんて知らない。

愛藍も結局あの日以来会っていない。

・・・・・・。

もう考えるのはやめよう。
考えても意味がない。
「次、どこいくの?」

気を紛らわせるように、私は固まる小緑に声を掛けた。

「じゃあ水族館」

「はいはい」

重たい足を何とか動かし、私達は今度こそショッピングセンターを後にした。

だけど小緑の表情は晴れなかった。
ずっとうつ向き、何かを考えるような辛そうな表情を私に見せていた。

やっぱり小緑も家族のことで悩んでいるのだろうか。

・・・・・・・。

というか、それし考えれない・・・・・。