小緑と遊びたくないのは事実。
正直言って、山村小緑という女の子が怖い。

今から何されるか分からない。

一方の小緑は肩を落とていた。私の嘘が効いているのだろうか。

「酷いですね。僕、茜さんの友達の妹なのに」

「でも私はアンタのこと知らないし」

私は『諦めてほしい』と、再びキツい言葉投げ付ける。

小緑には効きはしないだろうが、事実を言ってみた。
裏で何やってるか分からない子に、付き合ってられない。

すると小緑は今にも泣きそうな表情を見せた。
一体何考えているんだ?

「わかりました。諦めます」

残念そうに呟く小緑は先ほどやっていたゾンビゲーム機に百円玉を入れる。
わざとなのか、先ほどの迫力はなくゾンビに一方的にやられている。

『落ち込んでますアピール』でもしているのかな。

どうして小緑が私と遊びたいのか分からない。
何を企んでいるのか分からない。

だけどちょっと可哀想かもしれない。
私が逆の立場だったら、傷付くと思うし。

私は帰ってもすることがない。
内心飽きてきたと思うピアノを弾いて時間を潰す毎日。

進路なんて、もうどうでもいい。
いや、どうでもよくないけど・・・・・。

・・・・・・・。

まあ仕方ないか。私も腹を括ろう。

「分かった。今日は暇だからいいよ」

搾り取るような私の言葉に、小緑はすぐに振り返った。

「まじ?」

「まーじ」

「嘘じゃない?」

「嘘じゃない」

「途中で帰るなんて言わない?」

「言わない」

「今日は暇って、今日『も』暇の間違いじゃないですか?」

何て言うか、こういう所が紗季に似ている気がする。
無駄に鋭いっていうか。

『性格がひねくれている』って言うか。

「うっさい」

私の声に小緑は笑った。

とっくの前に手を止めているゾンビゲームは『GAME OVER 』の文字。
プレイヤーは残酷にゾンビに食べられている。

そして嬉しそうな笑顔を見せる小緑は、私の腕を引っ張って歩き出す。

「よーし、じゃあ早く行きましょうよ。僕、水族館に行きたいんです」

「水族館?」

聞き慣れない言葉に私は疑問を抱いた。
まあ私が『水族館』とやらに行ったことないだけなんだけど。

こうして私達はゲームセンターを後にした。
小緑に連れられ、今日と言う日を彼女に任せることにした。

もう知らない。