ゲームセンターは、この街のショッピングモールの二階。
土曜日ということもあってか、ショッピングモール内には子供が多い。

荒れた息でゲームセンターに着いた私は、ゆっくりゲームセンター内を見渡す。

するとそこに彼女はいた。
チャームポイントでもある大きなヘッドホンを付けて、小緑の両手には拳銃。

もちろん玩具だ。
目の前に現れるゾンビを撃ちまくるというシンプルなゲームを楽しんでいる。

その小緑は近くに私がいるのにまだ気がついていないのか、ゲームに夢中だ。
クライマックスなのか、大量のゾンビが小緑に襲い掛かるが、表情一つ変えず目の前の敵を倒していく。

どうやら小緑も紗季同様にゲームが好きみたいだ。
見事な腕前で、いつの間にか小緑の回りには多くのギャラリーが集まっている。

ゲームセンダーでは小緑は結構有名な存在なのだろうか?

ゲームが終わるとスコアが表示される。
点数の内訳は分からないが、高得点とランキング一位ということだけは分かった。

ギャラリーから『凄い』と言う歓声が聞こえる。

そんな中、小緑はようやく私の存在に気が付く。

「茜さん、いたんですね。気付かなかったです」

小緑は振り返ると私に笑顔を見せた。
黙ってれば可愛い子なのに勿体ない。

私は急ぐ。

「で、頼みってなに?」

「急がないでくださいよ。心の準備が必要なので」

小緑は親友の妹なのだが、夏祭り以来会っていないから知り合い程度の関係だ。
そんな私に何を求めるんだろう。

「まさか告白するつもり?」

私は意地悪な言葉を使ってみた。
相手はこれでも中学一年生。

怯んだりするのかなと思ったが、私が怯んでしまった。

「そうですね、告白です」

男と平気でキスをするような奴だ。
小緑のことを少し侮っていたのは事実。

私の表情が歪む。