その日の深夜。
東雲さんの携帯電話に電話が届いた。

相手は杏子さんが運ばれた先の大学病院からだった。
『手術は成功した。暫く集中治療室で様子を見る』って。

その言葉を聞いたあたしは、まるで溶けてしまいそうなくらい嬉しかった。
まだ意識は戻らないが、一歩前進したって思ったから。

だから『家族』が揃うその一歩に、あたしも見失わないようにその足跡を追いかけないと。
じゃなきゃ、『また一人ぼっちになっちゃう』って。

でももう心配いらないか。

一人ぼっちなったら、東雲さんや瑞季が探してくれるから。
向日葵が慰めてくれるから。

そして『それもそれでいいかな』って、思うあたしもいる。

でもやっぱり『何にも変わってないかも』って思う自分もいるけど、『支えてくれる誰かと一緒なら、変わる必要もないのかな』って、思う自分も現れた。

だって、家族以外の誰かに甘えたことなんてないし。

それに、『誰かが側にいるだけで、こんなにも幸せになるんだ』って知ったから。

『もうひとりぼっちじゃないんだ』って、そう思うだけであたしは変われた気がする・・・・・・・。