翌日。
土日という休みには遠いため、当たり前のように学校に行く私達。

いつものようにクラスメイトは集まり、朝のホームルームのチャイムが鳴る。

そしていつもと変わらない日々が続くハズだったのに・・・・。

ホームルーム開始と共に、担任の黒沼先生が入ってくる。
いつもぶっきらぼうな表情で点呼を取る、非常にやる気のない先生だ。

点呼を取った黒沼先生は、今日の連絡事項を伝えるとホームルームが終わる。
そしていつも通りくだらなくて、楽しい毎日が始まると思っていた・・・・。

だけど黒沼先生の一言で、教室の雰囲気は凍り付く。

「飼育委員、江島と桑原。ちょっと来い」

怒っているのか、やる気の無いのか分からない。
投げ捨てるのような黒沼先生の冷たい言葉は、私と葵を不安にさせる。

そしてそれはクラスメイトも同じみたいだ。
いつも以上に感情のない冷酷な黒沼先生の一声に、クラスメイトは脅えてしまったのだろう。

何が何だか分からないまま、私と葵は教室を後にして黒沼先生の後を追う。
お互い何だろうと、首を傾げながら廊下を歩く。

間もなくついた場所は、職員室隣の応接室。殆ど使われないた場所だ。
多分校長とか偉い校内の人間が外部の人間と話しをする場所。

その応接室に入った私達は最初に驚く。

そこには見覚えのある人が居た。
立派なスーツを着た初老の男性が一人。

「桑原葵さんと、江島葵くんですね。少しだけお時間宜しいでしょうか?」
その初老の男性とは、我が校の校長先生だった。

優しい声とは裏腹に、苦笑いと申し訳ない気持ちをごちゃ混ぜにしたような、不安な表情を浮かべている。

それが何を意味していたのか、その時の私にはわからなかった。

「どうぞ、お掛けになってください」

言われた通り、私と葵は部屋の真ん中にあるソファーに腰掛ける。

それを確認した校長先生と黒沼先生は、私達と対になるように同じ形をしたソファーに座った。

そして校長先生は一つ間を置くと、私達の人生が大きく変わる話が始まる・・・・。