「どうしてあたしのためにいつもこんなことしてくれるのですか?」
顔をくしゃくしゃにして、あたし杏子さんに疑問をぶつける。
どうしてもその理由だけは聞きたかった。
聞かないと、あたし自身が前に進めない気がしたから。
杏子さんは微笑んで教えてくれる。
「どうしてって言われても、何でだろうね。まだ若いのに、ただ可愛そうだったから。あんまり深い理由はないわよ。というか困っている人がいたら、助けるのが普通でしょ?」
普通。
本当にそうかな?
あたしの普通は『誰かに頼ってはならないもの』だと周りに教わって生きてきた。
『助けて』と言っても、誰も振り向いてくれないのが普通だった。
だから納得できなかった。
そんなことを言われても、『一緒にご飯を食べよう』なんて思わなかった。
だから・・・・・、あたしは声を張って杏子さんに訴える。
「あたし、人殺しの娘なんですよ。そんな人殺しの血が、あたしには流れているんですよ!」
「だったら何よ。あなた自身が何か悪いことしたって言うの?していないでしょ?そんな下らない妄想はいい加減やめなさい」
まるでその言葉の対策を既に考えていたかのように、杏子さんは何の迷いもなく答えた。
そして杏子さんはあたしの頭を優しく撫でる。
「どうして何もしていない、ただ真っ直ぐに生きている女の子の生き様を批判しなきゃならないのよ。もう一度聞くけど、樹々ちゃんが何か悪いことした?そんな馬鹿な考えの奴、放っておけばいいのよ」
その言葉を聞いたあたしはまた大声で泣き出した。
そして杏子さんも再びあたしの頭を撫でる。
暖かく温もりのあるその手は『本当のお母さんのよう』に思えてとても辛かった。
まるであの頃の日々に戻ってしまったような気がして・・・・・。
「ほら、もう泣かない。瑞季や向日葵に笑われるわよ。『泣き虫なお姉ちゃんだ』って。元気出しなさい」
でも戻ってしまってもいい気がする。
いっそのこと、隣に杏子さん達がいる状態であたしはあの頃をやり直したら、どんな今になっていただろうか。
きっと昔の嫌われたあたしの側に杏子さんが居てくれたらこう言うだろう。
『そんなのやり返してしまえ』って。
『ざまあみろ』って、あたしをいじめていた奴らに反撃していた自分もいたかもしれないって。
もし最初から隣に杏子さんが居てくれたらあたし、凄く幸せな人生だったかもしれない。
もっとあたしらしさを出して、今よりもっと明るく生きていけたかもしれない。
あとちょっぴり性格が悪くなっていたかも。
そんならしくないことを考えていたらどこか可笑しくて、あたしは一人で笑っていた。
『何それ』って。
『泣いていた時間があるなら、笑った方が絶対に楽しいのに』って思ったりもした。
顔をくしゃくしゃにして、あたし杏子さんに疑問をぶつける。
どうしてもその理由だけは聞きたかった。
聞かないと、あたし自身が前に進めない気がしたから。
杏子さんは微笑んで教えてくれる。
「どうしてって言われても、何でだろうね。まだ若いのに、ただ可愛そうだったから。あんまり深い理由はないわよ。というか困っている人がいたら、助けるのが普通でしょ?」
普通。
本当にそうかな?
あたしの普通は『誰かに頼ってはならないもの』だと周りに教わって生きてきた。
『助けて』と言っても、誰も振り向いてくれないのが普通だった。
だから納得できなかった。
そんなことを言われても、『一緒にご飯を食べよう』なんて思わなかった。
だから・・・・・、あたしは声を張って杏子さんに訴える。
「あたし、人殺しの娘なんですよ。そんな人殺しの血が、あたしには流れているんですよ!」
「だったら何よ。あなた自身が何か悪いことしたって言うの?していないでしょ?そんな下らない妄想はいい加減やめなさい」
まるでその言葉の対策を既に考えていたかのように、杏子さんは何の迷いもなく答えた。
そして杏子さんはあたしの頭を優しく撫でる。
「どうして何もしていない、ただ真っ直ぐに生きている女の子の生き様を批判しなきゃならないのよ。もう一度聞くけど、樹々ちゃんが何か悪いことした?そんな馬鹿な考えの奴、放っておけばいいのよ」
その言葉を聞いたあたしはまた大声で泣き出した。
そして杏子さんも再びあたしの頭を撫でる。
暖かく温もりのあるその手は『本当のお母さんのよう』に思えてとても辛かった。
まるであの頃の日々に戻ってしまったような気がして・・・・・。
「ほら、もう泣かない。瑞季や向日葵に笑われるわよ。『泣き虫なお姉ちゃんだ』って。元気出しなさい」
でも戻ってしまってもいい気がする。
いっそのこと、隣に杏子さん達がいる状態であたしはあの頃をやり直したら、どんな今になっていただろうか。
きっと昔の嫌われたあたしの側に杏子さんが居てくれたらこう言うだろう。
『そんなのやり返してしまえ』って。
『ざまあみろ』って、あたしをいじめていた奴らに反撃していた自分もいたかもしれないって。
もし最初から隣に杏子さんが居てくれたらあたし、凄く幸せな人生だったかもしれない。
もっとあたしらしさを出して、今よりもっと明るく生きていけたかもしれない。
あとちょっぴり性格が悪くなっていたかも。
そんならしくないことを考えていたらどこか可笑しくて、あたしは一人で笑っていた。
『何それ』って。
『泣いていた時間があるなら、笑った方が絶対に楽しいのに』って思ったりもした。