午後から陽射しが強くなり、少し夏を思い出させるような暑さが広がった。

雲一つない青い空には、手で掴めような小さな太陽が飾られている。

今日一番の楽しみのハズだった。
昼食後にやって来たのは大きな遊園地。

誰もが目を輝かせて、入場ゲートを潜るハズだったのに。

「さあ、楽しむわよ!まずはみんなで私と一緒にあのジェットコースターに乗るわよ」

目を輝かせていると言えば、この滅茶苦茶姉妹だけだ。

杏子さんは目の前に広がるこの遊園地の目玉である大きなジェットコースターを指差した。

そんな杏子さんに続いてシロさんも声を上げる。

「私、これ乗ってみたかったのよね!って早く並ばないと混んじゃうし!樹々ちゃん早く行くわよ!」

パンフレッドを確認したシロさんは、無理矢理あたしの腕を掴む。

でもあたしは待ったをかけた。

「えっとあたし、ジェットコースター無理って言うか」

直後、お酒で頬を赤く染めたシロさんに、パンフレッドを丸めて頭を叩かれた。
かなり怒っている。

「バカ。ここは乗るって言いなさい。瑞季くんの表情見れば、樹々ちゃんだって分かるでしょ?」

耳元で小さく呟くシロさんの言葉に、あたしは思わずシロさんから目を逸らしてしまった。

そんなこと言われなくても分かっている。
さっきから何一つ変わらない瑞季の表情を見れば、小学五年生の向日葵だって分かるに決まっている。

瑞季のために、ここはあたしもシロさんや杏子さんのように元気を出して暴れるのもいい。

茜の前で無理矢理作っているあの表情を出せば、何にも問題はない。
そうすれば瑞季も元気を出してくれるだろう。

でも本当にジェットコースターは乗りたくない。
いや、乗ったことはないのだけど『怖い』って言うか。

『高い所は苦手』って言うか。
と言うより、なんで一発目からそんなスリルを味わいたいのか、あたしには全く理解できない・・・・・。

だからみんなには悪いけど、何としてもここは断ろうとあたしは決意した。

「無理です!せめて違う乗り物からいいって言うか。って言うか、いきなり回転するジェットコースターとかあり得ないですって!」

そんなこと、彼女らに言っても伝わる訳がないのに・・・・・。
あたしは抵抗の言葉を考える。

一方でシロさんはあたしに笑みを見せる。