いつもそうだ。
彼は家族との会話はあまり好きでは無いようで、家で家族と食事するときも常にテレビを見ている。
会話をしても、すぐに終わらせようとする。
まるで人との関わりを避けているような、そんな風にも思えた。
でもその息子の姿を許さないのが母親の杏子さんだった。
突然瑞季に話題を振る。
「瑞季は好きな人とかいないの?クラスの女の子で」
顔が隠れそうな程の大きな本を閉じた瑞季の表情が赤くなった。
「いないです!って言うかなんでそんないきなり?」
あたしも瑞季の言葉にに同感だ。
杏子さんやシロさんはカフェの団体客のキャンセルの話をしていたのに、どうして何の前触れもなくいきなり話を切り替えれるのだろうか。
団体客の話もまだ終わった訳じゃないのに。
そしてお父さんの東雲さんも、瑞季に追い討ちを掛ける・・・・。
「でもこの前『クラスの女の子で可愛い子がいる』って瑞季くんが言っていたじゃないですか」
「い、言っていないですって!」
慌てて珍しく声を荒ける瑞季の姿は、どこか斬新に見えた。
そしてそんな見え見えの否定をするから、シロさんに目を付けられているということに中学一年生の彼はまだ気付いていない。
「えー、瑞季くん本当?可愛い顔して女好きだったとは、驚いたわね」
「違いますって!言ってませんって!」
瑞季の顔はどんどん赤くなっていく。
やがて瑞季もそれに気が付いたのか、持っていた本で顔を隠した。
なんだかその仕草がすごく可愛い。
でもそんな可哀想な瑞季に、残念ながら味方はいない。
「そんなこと言っても無駄ですよ。こっちには集合写真があるんですからね」
笑顔で話す東雲さんの姿は、平気で人の心を弄ぶ悪魔にも見えた。
もしかして杏子さんより性格が悪いのかも・・・・・。
東雲さんは自分の携帯電話を取り出して、入学式に撮ったと思われる瑞季のクラスの集合写真を見せてくれた。
みんなもその写真に興味津々で、『そもそもなぜ東雲さんの携帯電話にそんな写真が入っているのか』なんて誰一人疑問を持たなかった。
仕込んでいたのだろうか?
彼は家族との会話はあまり好きでは無いようで、家で家族と食事するときも常にテレビを見ている。
会話をしても、すぐに終わらせようとする。
まるで人との関わりを避けているような、そんな風にも思えた。
でもその息子の姿を許さないのが母親の杏子さんだった。
突然瑞季に話題を振る。
「瑞季は好きな人とかいないの?クラスの女の子で」
顔が隠れそうな程の大きな本を閉じた瑞季の表情が赤くなった。
「いないです!って言うかなんでそんないきなり?」
あたしも瑞季の言葉にに同感だ。
杏子さんやシロさんはカフェの団体客のキャンセルの話をしていたのに、どうして何の前触れもなくいきなり話を切り替えれるのだろうか。
団体客の話もまだ終わった訳じゃないのに。
そしてお父さんの東雲さんも、瑞季に追い討ちを掛ける・・・・。
「でもこの前『クラスの女の子で可愛い子がいる』って瑞季くんが言っていたじゃないですか」
「い、言っていないですって!」
慌てて珍しく声を荒ける瑞季の姿は、どこか斬新に見えた。
そしてそんな見え見えの否定をするから、シロさんに目を付けられているということに中学一年生の彼はまだ気付いていない。
「えー、瑞季くん本当?可愛い顔して女好きだったとは、驚いたわね」
「違いますって!言ってませんって!」
瑞季の顔はどんどん赤くなっていく。
やがて瑞季もそれに気が付いたのか、持っていた本で顔を隠した。
なんだかその仕草がすごく可愛い。
でもそんな可哀想な瑞季に、残念ながら味方はいない。
「そんなこと言っても無駄ですよ。こっちには集合写真があるんですからね」
笑顔で話す東雲さんの姿は、平気で人の心を弄ぶ悪魔にも見えた。
もしかして杏子さんより性格が悪いのかも・・・・・。
東雲さんは自分の携帯電話を取り出して、入学式に撮ったと思われる瑞季のクラスの集合写真を見せてくれた。
みんなもその写真に興味津々で、『そもそもなぜ東雲さんの携帯電話にそんな写真が入っているのか』なんて誰一人疑問を持たなかった。
仕込んでいたのだろうか?