服を買って貰った後もあたし達は他の服屋を歩き回った。
さっきの服以外にも色々買って貰って、気が付けばあたし達の両手には様々なお店の袋でいっぱい。

ちなみに全部あたしの服だ。
『寒くなる季節に備えて、沢山いるでしょ?』って杏子さんは意味の分からない事を言ってくるし。

本当に意味わかんない・・・・。

お昼になって、別チームの東雲さん達と合流する。

今から帰るような両手いっぱいの荷物を持つあたし達を見た東雲さんは、苦笑いを浮かべていた。
それに『女の買い物は怖い』と、そんなことを言っているでもような瑞季の呆れた表情に、あたしはどこか親近感を沸いていた。

あたし達が合流した場所は高級感漂う和食の店だった。
テレビでも紹介された有名店で、十一時とお昼ご飯にしてはまだ早い時間が、すでに満席。

でも混むの分かっていたため、東雲さんが予め予約を入れてれたみたいだ。
前からこの家族旅行は計画されていたのだろうか?

ちなみにこの高級店、東雲さんのご指名のお店だ。
元料理人で色んな料理店に詳しく、『色んな店の味を勉強をしていた』と、この前言っていた。

それに瑞季も『将来は料理人になりたい』と言っていたし。
今度は瑞季が勉強する番なんだろう。

瑞季も早速メニューを眺めている。
各自好きな一品メニューを頼み、三十分が経過した頃には全ての料理が揃った。
楽しく会話も交わし、美味しい料理を口に運んでいく。

宣言通り、シロさんは昼間から大好きな芋焼酎のボトルを空けて杏子さんと飲んでいる。

会話も弾んでいるお陰か、二杯目となる芋焼酎の水割りを飲み干してもまだ酔っていなかった。
いつも一杯飲むだけで潰れるのに。

そしてそれは形は違うが、杏子さんの家で食べる晩ご飯の雰囲気と似ていた。
みんな楽しく会話する中、瑞季は一人外れて読書をしていた。

箸も完全に止まってもう食べないようだ。
どうやらもうお腹が一杯のよう。