九月も終わりに近づいてきたとある日曜日。
窓を開けると、ようやく秋らしい涼しい風とひんやりした空気が流れ込んだ。
スッゴく気持ちいい。
『明日の学校からからカーディガンを着ていこう』
そんなことを思ったあたし『松川樹々(マツカワ キキ)』は、髪を磨いで一張羅の私服に着替えた。
桔梗お姉ちゃんから貰った黒の帽子と、少しサイズの大きいの白のTシャツ。
それに中学生の時から掃いているジーパンに、シロさんに『ちょっとくらいはお洒落しない !』と怒れながら貰ったレンズの入っていない黒縁メガネ。
あたしが珍しく私服を着ているのには理由がある。
それは昨日の夜に届いたメッセージがきっかけだった。
いつもお世話になっている若槻杏子(ワカツキ キョウコ)さんからのお誘いのメッセージ。
『明日の日曜、日帰りで家族で少し遠出をしようと思うのだけど、樹々ちゃんも一緒に来ない?』
予定は特に無かった。だけど『毎度毎度お世話になるのも変な話』だと感じたあたし。
『明日はすいません。予定は無いのですが、今回はやめておこうかと思います』
なんでこう言う時は嘘が付けないのかと自分が嫌になりそうだった。
嘘でも『茜と遊ぶ予定があります』なんて言えば、こんなことにならなかったのに・・・・・。
そしてあたしの迷いから生まれたその文章に、杏子さんは疑問を感じたみたいだ。
あたしの携帯電話が突然鳴り出す。
メッセージの次は電話だ。もちろん相手は杏子さん。
出たくは無かったが、出ない訳にはいかない。
「は、はい。樹々です」
「ちょっと樹々ちゃん、どういう事?私達の事が嫌いなの?」
鼓膜が破れそうなほどのその大きな声に、あたしは肩を落とした。
「いや、そういうことじゃないんですけど。この前も晩ご飯、お邪魔したし。最近お世話になりすぎかなって・・・」
あたしの小さく曖昧な声は、杏子さんの機嫌を損ねるだけだった。
「何よ!樹々ちゃんの分際でそんなこと考えちゃって。まだ学生の未成年でしょ?まだまだ親に甘えていい年なの。わかる?」
親という言葉に一瞬首を吊っていた母の顔を思い出した。
そして『なんて酷いことを言うのだろう』と落ち込みそうになってしまった。
杏子さんもあたしの過去を知っているくせに。
窓を開けると、ようやく秋らしい涼しい風とひんやりした空気が流れ込んだ。
スッゴく気持ちいい。
『明日の学校からからカーディガンを着ていこう』
そんなことを思ったあたし『松川樹々(マツカワ キキ)』は、髪を磨いで一張羅の私服に着替えた。
桔梗お姉ちゃんから貰った黒の帽子と、少しサイズの大きいの白のTシャツ。
それに中学生の時から掃いているジーパンに、シロさんに『ちょっとくらいはお洒落しない !』と怒れながら貰ったレンズの入っていない黒縁メガネ。
あたしが珍しく私服を着ているのには理由がある。
それは昨日の夜に届いたメッセージがきっかけだった。
いつもお世話になっている若槻杏子(ワカツキ キョウコ)さんからのお誘いのメッセージ。
『明日の日曜、日帰りで家族で少し遠出をしようと思うのだけど、樹々ちゃんも一緒に来ない?』
予定は特に無かった。だけど『毎度毎度お世話になるのも変な話』だと感じたあたし。
『明日はすいません。予定は無いのですが、今回はやめておこうかと思います』
なんでこう言う時は嘘が付けないのかと自分が嫌になりそうだった。
嘘でも『茜と遊ぶ予定があります』なんて言えば、こんなことにならなかったのに・・・・・。
そしてあたしの迷いから生まれたその文章に、杏子さんは疑問を感じたみたいだ。
あたしの携帯電話が突然鳴り出す。
メッセージの次は電話だ。もちろん相手は杏子さん。
出たくは無かったが、出ない訳にはいかない。
「は、はい。樹々です」
「ちょっと樹々ちゃん、どういう事?私達の事が嫌いなの?」
鼓膜が破れそうなほどのその大きな声に、あたしは肩を落とした。
「いや、そういうことじゃないんですけど。この前も晩ご飯、お邪魔したし。最近お世話になりすぎかなって・・・」
あたしの小さく曖昧な声は、杏子さんの機嫌を損ねるだけだった。
「何よ!樹々ちゃんの分際でそんなこと考えちゃって。まだ学生の未成年でしょ?まだまだ親に甘えていい年なの。わかる?」
親という言葉に一瞬首を吊っていた母の顔を思い出した。
そして『なんて酷いことを言うのだろう』と落ち込みそうになってしまった。
杏子さんもあたしの過去を知っているくせに。