入学式の後の教室。
ホームルームまでの時間、あたしは教室を見渡す。

だけどもう既にグループは出来ていた。
中学から友人や部活仲間。

何気なく話してみたら、意気投合したなど。
いつの間にか私の居場所は失っていた。

そんな同級生を見て、やっぱり諦めようかと思った。
『もう手遅れかな?』って。

『本当にあたしがいても許されるのかな?』って考えてしまう。

やっぱりまだ『人が怖い』と思うあたしがいる。

だけどまだ入学式の高校生活初日。
『諦めるには早すぎないか?』って思う自分もいる。

中学時代も同じだった。
本音は友達が欲しいと思いながら周囲のグループを見渡していた。

でもその頃は勉強が楽しかったし、友達作りなんて正直どうでもよかった。
お姉ちゃんのために高校に行くことだけを意識していたし。

でも高校生活は違う。

シロさんから『勉強禁止』と言う意味の分からない約束をさせられたし。
『見た目は派手な茶髪のバカキャラで、遅刻の多いいい加減な性格をウリにする』って杏子さんは意味の分からないことを言っていたし。

『友達作らないと、毎日往復ビンタする』って、シロさんは理不尽な事を言っていたし・・・・。

だからもう一度あたしは周囲を振り返ってみた。
どこかにあたしが居ても許されるグループがあるはず。

必死で教室を見渡した。
なんとしても友達を見つけないと。

じゃなきゃまた孤独の日々。

孤独はもう飽きた。
飽きたと思うことは、二度としたくない。

二度と辛い思いはしたくない。

そんな中、視線に写ったのは静かな女の子だった。
というより気付かなかった。

細い腕に小さな体。
綺麗な黒い髪に大きな瞳。

ずっと音楽を聴いているのか、両耳にはイヤホンが付いている。

そんな女の子が目の前に、こんなにも近くに。
あたしの隣の席に座っていた。

同時にあたしは『この子は完全に友達作りを放棄したんだ』と一瞬で分かった。
『どうして?なんでそんな簡単に諦めちゃうんだろう?』って、あたしは思った。

目の前の女の子と話は合うのだろうか。
好きなことはなんなのだろうか。

今聞いている音楽は、あたしの知っている音楽なんだろうか。

色んな疑問が浮かぶが、あたしに迷っている暇はない。

『自分が変わらないと、みんなも変わってくれない』ってお姉ちゃんと一緒に学んだから。

だからあたしは勇気を振り絞る。